研究課題/領域番号 |
16K05039
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 崇恭 京都大学, 工学研究科, 助教 (30598222)
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研究分担者 |
松本 敏郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10209645)
西脇 眞二 京都大学, 工学研究科, 教授 (10346041)
飯盛 浩司 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50638773)
石井 智 国立研究開発法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (80704725)
泉井 一浩 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90314228)
藤井 雅留太 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (90569344)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マルチスケール / トポロジー最適化 / 音響・構造連成問題 / 音響メタサーフェス / 音響メタマテリアル / ラウドネスモデル / 高周波均質化法 / 最適設計 |
研究実績の概要 |
本研究では,高性能あるいは新しい機能を持つ革新的な音響デバイスの最適構造の創成設計法の構築を目的として,特異な機能を持ったスマート平面構造,いわゆる音響メタサーフェスのトポロジー最適化法の開発を行う. 本年度は前年度に得られた最適構造の具体的な製造法の検討を行い,実験用の簡易実機モデルの試作を行った.さらには,半無響室において計測検証を行った.具体的には,数値解析モデルでは無限の長さを持つ単位構造を,1.5mの長さで近似し,それを15周期並べた構造に対して,平面波スピーカ-からホワイトノイズを発生させた.メタサーフェスを通過した場合の音場と,メタサーフェスと同スケールの矩形形状を持つ周期構造体を通過した場合の音場分布を比較した.その結果,創成設計された音響メタサーフェスを用いることで,ラウドネスが低減できることがわかった.すなわち,創成設計された音響メタサーフェスにより,光と空気は透過するものの,騒音の透過量が低減されることがわかった.これらの成果は,現在国際学術雑誌への投稿に向けて準備を進めている. 他方,前年度に開始した局所共振現象を考慮した均質化法の一つである高周波均質化法を用いたトポロジー最適化法の構築にも成功し,国際学術雑誌Computer Methods in Applied Mechanics and Engineeringの論文としてその成果をまとめ,掲載された.これにより,局所共振現象を利用した特異な性質を持つ音響材料の創成設計が可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
音響メタサーフェスの実験検証を行い,所望の特性が得られることがわかった.すなわち,光と空気は透過するが,騒音は遮断可能な音響メタサーフェスの存在を実験により示すことに成功した.さらには,より高性能化,高機能化を目指した基礎研究として,高周波均質化法も用いたトポロジー最適化法の構築に着手し,その基礎的な方法論の開発にも成功した.当初は,基礎的な方法論の構築を目標としていたが,実用化に向けた検討を開始できる段階にあり,当初の計画を超えて大幅に進展している状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
音響メタサーフェスの設計問題の修正の検討を行い,より高性能な音響メタサーフェスの創成設計を試みる.具体的には,設計領域を拡張するとともに,空気の透過を仮想的な物理モデルにより表現する方法を適用する.これにより,設計自由度が増加し,より高性能な音響メタサーフェスの実現が可能になると考えられる.高周波均質化法に関する基礎検討については,異なる共振モードを対象として方法論の有効性,妥当性の検証を行う.さらには,音響メタサーフェスの材料への置換にむけて,具体的な検討を開始する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度により本格的に実験を実施することになったため,本年度は後半は論文としてのまとめ作業を優先をすることとしたため,次年度使用額が生じた.次年度は,引き続き実験による検証を進めるとともに,成果発表を予定よりも増加となる.次年度使用額は,実験検証及び成果発表に関する旅費,投稿料に当てる予定である.また,本年度後半より執筆を開始した国際雑誌への投稿原稿の英文校閲料もこれらに含む予定である.
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