研究全体について:本研究課題は,放散虫の骨格構造に見られる形態の多様性において,その生態(特に捕食行動)が重要な役割を果たしていることを,数値シミュレーションを用いて明らかにすることを目的としている.2017年度までに捕食行動を中心とした数理モデルを構築し,数値流体力学の手法を適用して放散虫が捕食に要している引張力の推定に成功してる.しかし,得られた結果が申請時に予想とは異なっていたため,その解釈を検討するために試行錯誤した1年であった.そのため,2018年度は急遽新しい装置の購入や対象とする属の変更など新しい取り組みを行った一年となった.最終的には,計算の束縛条件の妥当性を見直すことによって申請時の予想に変わりがないことが確認された.しかし,その結論に至るまでに時間がかかったため,当初予定していた対称性が低いタイプの数値計算について結果を出すことができなかった. 論文の公表について:投稿していたすべての論文が受理まで至らなかったために,公表した論文数はゼロになってしまった.内容を再検討して適切な論文誌を選択した上でなるべく早い公表を目指す. 学会発表について:本研究課題に関係する発表は1件であった.2017年度の後半に取り組んだ種の幾何学的な構造について,国際会議で発表した.このテーマについては既に執筆が終了し,投稿中である.また,関連していると考えられる属を含めて,更に検討していくことを予定している.
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