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2016 年度 実施状況報告書

バランシング領域分割法と双対基底ラグランジュ乗数法によるアセンブリ構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K05046
研究機関日本大学

研究代表者

宮村 倫司  日本大学, 工学部, 講師 (30282594)

研究分担者 山下 拓三  国立研究開発法人防災科学技術研究所, その他部局等, 主任研究員 (40597605)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード領域分割法 / モルタル有限要素法 / ラグランジュ乗数法 / 並列計算
研究実績の概要

双対基底ラグランジュ乗数法に基づくモルタル有限要素法の定式化を確認し,二次元問題に対するラグランジュ乗数の基底関数を計算し,それを用いて表される拘束条件をファイルに出力するプログラムを試作した.また,拘束条件のかわりに各部分領域において拘束を考慮した空間を考える方法についても検討した.今後はまず三次元化してから拘束条件を多点拘束条件(MPC)として出力し,そのデータをMPCを考慮したBDD法に基づく解析コードに読み込み,線形ソルバーの性能を評価する.
機器備品費によりメニーコア型CPUであるIntel Xeon Phiプロセッサを搭載したワークステーションとスレッド並列化が可能なOpenMPに対応したコンパイラを購入した.基本的な行列演算についてメニーコアCPU上でのスレッド並列計算の性能評価を行った.並行してスーパーコンピュータ「京」上でのMPCを考慮したBDD法のチューニングを行った.MPCを考慮したコースグリッド問題の係数行列の作成処理をOpenMPによりスレッド並列化することで,大幅な高速化が実現した.
分担者の山下が担当する「アセンブリ構造物としての建築構造物のメッシュ生成システムの設計」については,山下がこれまでに開発してきた既存の建築構造物用プリ処理システムの改造のための仕様を検討した.部品の接合面に対してマスター・スレーブ型のMPC,および,モルタル有限要素法の拘束条件の生成に必要なデータを生成できるようにする.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

調査の結果,双対基底ラグランジュ乗数法には色々な定式化があり,比較検討に時間がかかったため,二次元問題に対するプログラムの試作しかできなかった.三次元問題の場合の検討および実装も完成していないため,既存のMPCを考慮したBDD法の解析コードによる反復型線形ソルバーの性能評価に進むことができなかった.そのため,研究は全体的に遅れている.一方,機器備品費によりメニーコア型CPUであるIntel Xeon Phiプロセッサを搭載したワークステーションと対応するコンパイラを購入し,計算機が稼働し始めたため,平成29年度に開始予定であった解析コードのメニーコア並列環境向けのチューニング作業については,前倒しで開始することができた.アセンブリ構造物としての建築構造物のメッシュ生成システムの開発については計画通りに研究が進んでいる.

今後の研究の推進方策

三次元問題に対する双対基底ラグランジュ乗数法の比較検討を早急に進め,平成28年度に実施する予定であった外部プログラムで生成した拘束条件を既存のMPCを考慮したBDD法の解析コードに読み込んで線形ソルバーの収束性をテストするという項目を実施する.次に,双対基底ラグランジュ乗数法に基づくモルタル有限要素法とMPCを考慮したBDD法の解析コードを結合したプログラムの開発に進む.
メニーコア並列環境向けのチューニング作業については,平成28年度に行ったXeon Phi上での検討結果と京向けのチューニング結果をふまえて引き続き作業を進める.具体的にはMPCを考慮したコースグリッド問題の係数行列の作成処理のメニーコア向けスレッド並列化を実装する.アセンブリ構造物としての建築構造物のメッシュ生成システムについては,本年度に決定した仕様に基づき,実装を進める.

次年度使用額が生じた理由

研究の進捗が遅れ,本課題の内容について学会発表を行うことができなかったため,旅費として計上した10万円が不要となった.本課題で実装するモルタル有限要素法に基づく解析コードの高速化に必要な多点拘束条件を考慮したBDD法の改良に関する英文論文を執筆するために英文校正費を人件費として計上していたが,論文の執筆が遅れているために使用することができなかった.

次年度使用額の使用計画

現在,英語の論文を執筆中であるため,昨年度からの繰り越し金により英文校正を依頼する.また,繰り越した旅費の一部は,昨年度に購入したメニーコア型CPU(Xeon Phi,KNL)を搭載するワークステーションのメモリ増設費に充当する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Large-scale seismic response analysis of super-high-rise-building fully considering soil-structure interaction using 3D high-fidelity model of solid elements2016

    • 著者名/発表者名
      Tomoshi Miyamura, Seizo Tanaka, and Muneo Hori
    • 雑誌名

      Journal of Earthquake and Tsunami

      巻: 10(5) ページ: 1640014(21page)

    • DOI

      DOI: 10.1142/S1793431116400145

    • 査読あり
  • [学会発表] 局所座標系によりコースグリッドを定義したBDD法の性能評価2016

    • 著者名/発表者名
      宮村倫司
    • 学会等名
      日本機械学会計算力学部門第29回計算力学講演会
    • 発表場所
      名古屋大学,名古屋
    • 年月日
      2016-09-23
  • [学会発表] 高減衰ゴム免震支承の構造・熱伝導連成解析に関する検討2016

    • 著者名/発表者名
      宮村倫司,大崎純,山下拓三,山本雅史,小檜山雅之
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 発表場所
      福岡大学,福岡
    • 年月日
      2016-08-24
  • [学会発表] Coupled Structural and Heat Conduction Analysis of Laminated High Damping Rubber Bearing for Building Frame2016

    • 著者名/発表者名
      Tomoshi Miyamura, Makoto Ohsaki, Takuzo Yamashita, and Masayuki Kohiyama
    • 学会等名
      12th World Congress on Computational Mechanics (WCCM XII) & 6th Asian Pacific Congress on Computational Mechanics (APCOM Ⅵ)
    • 発表場所
      COEX, Seoul
    • 年月日
      2016-07-26
    • 国際学会
  • [学会発表] ソリッド要素でモデル化された骨組構造モデルに対する梁要素を用いたマルチグリッド法の開発2016

    • 著者名/発表者名
      宮村倫司
    • 学会等名
      計算工学講演会論文集
    • 発表場所
      朱鷺メッセ,新潟
    • 年月日
      2016-06-02

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公開日: 2018-01-16  

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