研究課題/領域番号 |
16K05048
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
薩摩 順吉 武蔵野大学, 工学部, 教授 (70093242)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 差分方程式 / 数理工学 / セルオートマトン / 超離散 |
研究実績の概要 |
本研究は、「超離散解析を工学システムに応用し、カルマンフィルターなどの具体的な対象について、これまでの離散解析では取り扱いが難しかった問題に対して新しい知見、新しい解決策を見いだすこと、及び得られた結果を用いて、さまざまな非線形工学システムに対して超離散化・逆超離散化を用いた新しい解析手法の提案を行うこと、とくに、非線形系に対し超離散化を施し、これまでのフィルターより高速に実行できるカルマンフィルターを構成すること」を目的としている。この目的に関連した非線形系の取り扱いに関して、本年度は以下の研究成果を得た。 1)交通流のモデルとなる非局所非線形発展方程式の差分化について議論した。この方程式はバーガーズ方程式を拡張したもので、認識距離が実質的に有限と考えられる。今後、様々な初期値に対する解を数値的及び解析的に求め、交通流で生じる渋滞解明に役立つ結果を得ることを 2)超離散系に対するカルマンフィルターの拡張について考察を加えるとともに、有用な非線形カルマンフィルターの構成を引き続き検討している。 3)アファインワイル群E8に関連した非線形差分方程式を提出した。そのうちのいくつかは線形化可能なものであり、別のいくつかは楕円関数を解に持つものであるが、それらは新しい離散パンルヴェ方程式になることも示した。この結果は連続系・離散系・超離散系の関係を明らかにするための一つの知見を与えたものである 。 4)閉じ込められない特異性を持つ写像の代数的エントロピーの新しい計算法を提示した。この方法はそれまでのものと比べ容易に実行できるものであり、今後の応用が期待できる。この結果も連続系・離散系の関係を明らかにするための知見を与えたものである
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超離散システムや非線形離散系に対するさまざまな知見を得るとともに、工学システムの一つとして重要なカルマンフィルターについて、その超離散系への拡張という結果を与え、研究目的であげた課題の解決をさらに進めていけると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
順調に研究が進んでおり、今後国内外の研究者との研究討論を活発にし、研究を深化させていきたい。その上で、これまでの研究成果をもとに、さらに意義ある研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が順調に進行しほぼ全額使用したが、端数が残った。本年の研究で端数を使用する予定である。
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