研究課題/領域番号 |
16K05052
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
竹ケ原 裕元 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (10211351)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バーンサイド環 / 抽象バーンサイド環 / 単数群 / Mバーンサイド環 / ゴースト環 / 線形指標 |
研究実績の概要 |
抽象バーンサイド環の単数群の特徴付けに関して、ある条件の下で、抽象バーンサイド環のゴースト環の単数が抽象バーンサイド環の単数のバーンサイド準同形による像であるための必要十分条件を与える基準を、有限群 G のバーンサイド環 B(G) の単数に対する吉田の基準の一般化として得た。その内容と、関連する結果を以下に記載する。 抽象バーンサイド環は(本質的)有限圏に関して定義されるが、抽象バーンサイド環のゴースト環の単数 x に対して、圏の各対象 I の自己同形群 Aut(I) から -1 で生成される巡回群へのある写像 FIx が、 I の各自己同形と恒等射に対して定まる余等化子を用いて定義される。また、抽象バーンサイド環から圏の各対象 I に対する Aut(I)のバーンサイド環 B(Aut(I)) への自然な加法的写像 WI が存在する。本研究では、すべての加法的写像 WI が環準同形である場合に、抽象バーンサイド環のゴースト環の単数 x が抽象バーンサイド環の単数のバーンサイド準同形による像であるための必要十分条件がすべての写像 FIx が Aut(I) の線形指標となっていることであるという結果を得た。 上記の結果の特別な場合が、バーンサイド環 B(G) の単数に対する吉田の基準として知られているものである。本研究で得られた結果により、様々な抽象バーンサイド環に関して、単数群の研究が可能となった。また、バーンサイド環 B(G) の一般化であるMバーンサイド環の中で、抽象バーンサイド環であり、さらに、すべての加法的写像 WI が環準同形となり吉田の基準の一般化が成立している例が存在することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バーンサイド環の一般化における単数群の研究に関して、抽象バーンサイド環の枠組みでは、吉田の基準が一般化されたことで、研究が大きく進展したといえる。この場合の手法は、抽象バーンサイド環以外のMバーンサイド環の場合にも応用される可能性があり、この意味でも、意義のある研究成果が得られた。 抽象バーンサイド環であるMバーンサイド環の中に、吉田の基準の一般化が得られている例が存在することから、Mバーンサイド環の典型的な例である、斜バーンサイド環の単数群の研究に関して、吉田の基準を一般化できる可能性は、非常に高くなった。この点においても、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
Mバーンサイド環の単数に関して、吉田の基準が一般化される条件を明らかにする。その上で、単項バーンサイド環および斜バーンサイド環の単数群の研究を進める。特に、有限べき零群が作用する有限モノイドに対して定義される斜バーンサイド環の単数群に関して、その構造を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究連絡が、日程の都合上、実現できなかったため、そのための旅費を繰り越した。次年度に、研究成果をまとめる研究連絡を行う。
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