研究課題/領域番号 |
16K05062
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
飯寄 信保 山口大学, 教育学部, 教授 (00241779)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 部分群束 / quiver / 有限群 / 表現論 |
研究実績の概要 |
素数グラフは、有限群のべき零部分群束あるいは可換部分群束と密接に関係があり、可換性という視点から部分群の「まじりあい」を簡潔に表している。有限単純群の分類完成後に急速に研究が進んでいる。一方、部分群束の研究は、ティッツの理論に関連して一つの素数p(主に2,3)に焦点をしぼり研究が進められてきた。このほぼ独立に発展してきた2つの理論を有機的に結び付け、群の構造を深く解明することが本研究の目的である。具体的課題としては、素数p_1,p_2,...に対し各p_i-部分群束の関係を明らかにすること、べき零π‐部分群束の構造を調べること、べき零π‐部分群束の構造とモジュラー表現の関係を調べること、等である。本研究開始前までに、以上の研究を進める上で重要であろうと考えられるL_π‐部分群の概念を見出し、その基本的な性質の研究を進めていた。次に挙げる2点が、2016年度における成果である。 1. 前年度に完成を見た対称群のL_π‐部分群の分類アルゴリズムを基に一般線形群GL_n (q)のL_π‐部分群の分類アルゴリズムを見出した。このアルゴリズムは、対称群の場合と同様に非常に明快であり、GL_n (q)のL_π‐部分群の分類が実行可能であることを示している。 2. Gを有限群とする。共通部分のない素数からなる集合π_1,π_2に対し,L_{π_1\cup π_2}(G)-L_{π_2}(G)とL_{π_1}(G)がホモトピー同値であることを見出した。またπ‐部分群束のレベルでも同様の事実が成立することも検証した。またπ‐部分群束の部分束gluing (π_1,π_2)-ポセットなる概念を見出すことができた。このことよりL_{π_1\cup π_2}(G)-L_{π_2}(G)のホモロジー群をL_{π_1}(G)とL_{π_2}(G)のホモロジー群に分解できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に述べたように、2016年度においては十分な研究結果を得た。この成果は、本研究2016年度に得られると予定していた結果以上のものであると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度においては、2016年度の結果を踏まえ更にL_π-部分群の分類を進めるとともに、部分群束とモジュラー表現との関係を解明していきたい。この考察は、今までほとんどなされていなかったため困難が想定できる。この場合は、同様の手法で、一般指標とモジュラー指標との関係を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度においては、研究を効率的に進めるために情報収集及び研究討論等の確保を積極的におこなった。このため旅費が予定額より多くかかった。また、情報収集等に重点を置いたため、予定していたPCの購入を控え、次年度に回し研究の効率化を図ったため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度において、前年度計画していたPCを購入予定である。研究に十分対応するため今年度の物品費の一部もその購入代金に充てる予定である。
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