研究課題/領域番号 |
16K05063
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
若山 正人 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (40201149)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 表現論 / 数論 / 非可換調和振動子 / ホイン微分方程式 / 量子ラビモデル / 量子相互作用 / 退化スペクトラム / スペクトルゼータ |
研究実績の概要 |
Daniel Braak (マックス・プランク固体物理学研究所), Murry Bachelor (ANU) らと、非対称量子ラビモデル(ものともとの量子ラビモデルを含む)のスペクトルに対し、その退化性の背後に存在しうる対称性や、Braak 予想についての検討を引き続き行った。同時に、木本一史(琉球大理)とCid Reyes-Bustos(東京工業大理)とともに、前年2016年に研究代表者が提出していたスペクトル(固有値)の退化についての予想に対し、肯定的な解決をみた。その内容は、非対称量子ラビモデルが退化するのは、その非対称性を記述するパラメータが半整数のときに限る」というものである。 なお、 Braak の予想とは異なるが、隣接固有値の分布についての、佐藤・テイト予想型の予想を、沖縄で開催されたゼータ関数シンポジウムでの講演で提出した。その予想は2つの部分からなり、一つ目は、隣接固有値の分布がある確率測度で記述されるであろうというもので、もう一つは、第1番目が正しいとき、その確率密度関数が対称となる必要十分条件は、非対称量子ラビモデルの非対称パラメータが半整数となることである、というものである。この後半の予想は、対称性が陽には見えない非対称量子ラビモデルではあるが、退化固有値が存在する場合には、スペクトルを通して隠れた対称性が存在するということを主張するものでもある。 さらに、量子ラビモデルの熱核の明示的導出に成功した。今後、論文を完成する。(with Cid Reyes-Bustos)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・量子ラビモデルの熱核の明示公式の導出と対応するスペクトルゼータ関数の解析接続の第2証明C.Reyes-Bustos and M. Wakayama: The Heat kernel and spectral zeta function for QRM]{The Heat kernel and spectral zeta function for the quantum Rabi model を執筆中 ・非可換調和振動子のスペクトルゼータ関数の一般特殊値の数論研究 K.Kimoto and M. Wakayama: “Apery-like numbers for non-commutative harmonic oscillators and Eichler forms with the associated cohomology groups” を執筆中 ・量子ラビモデルと非対称量子ラビモデルの隣接固有値の研究を開始した
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今後の研究の推進方策 |
・量子ラビモデルのスペクトルゼータ関数の特殊値の研究、 ・非可換調和振動子および量子ラビモデルを由来とする Mahler 測度(さらには Cayley graph, 群行列)の研究、 ・量子ラビモデルと非対称量子ラビモデルの隣接固有値の研究を、木本一史(琉球大理)、C.Reyes-Bustos(東工大理)、Nguyen Thi Hoai Linh(九大 IMI)らとの共同研究などを中心に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は、本研究の数論的方面から必要なゼータ関数の拡張を黒川信重氏(東京工業大学)と行っているが、最後の段階で共同討議が不可欠である。H30年度2月、3月で日程調整をしたが、半日の時間をとることも不可能であった。そのため、次年度に研究討議をする予定である。
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