研究実績の概要 |
2019年度の前半には主にコンピュータを使って交代符号行列のなす分配束の構造を小さい例で計算した。分配束は join-irreducible な元と関係があるので、この join-irreducible のなす半順序集合を計算する。VSASM, HTSASM, UTSASM 等の交代符号行列を Maple で発生させ、半順序集合としての順序関係から join-irreducible の集合を求めるが、スピードの関係からC言語で、その部分を書き SAGE math でハッセ図を描かせる。小さい例を計算するといくつかの特徴はわかるが、そのハッセ図から構造を推量することは無理であった。そこで主に理論的な面から交代符号行列の構造を計算し、180度回転不変な交代符号行列の分配束における join-irreducible な元全体の半順序集合の構造を決定した。またB型の正のルートのなす半順序集合を貼り合わせてできることを示した。また線対称な交代符号行列についても理論的に計算を進めたが join-irreducible な元の決定の記述は複雑で、その間の半順序の関係も満足できるほどコンパクトな形では書けていない。その他にも和歌山大学の田川裕之氏とアステカ正方形の上に重み関数で有限分配束の構造を入れ、その join-irreducible の半順序集合の構造について研究を行った。これはアステカ正方形と交代符号行列の関係と密接に関連している。9月にはフランスのリヨン大学を訪問し、Zeng 氏と Eisenkolbl 氏と共に Gessel-Xin 型のハンケルパフィアンについて共同研究を行った。また、11月にはリヨン大学の Zeng 氏が岡山大学に1ヶ月弱滞在して研究し、その結果を論文にまとめつつある。
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