研究実績の概要 |
)1) シンプレクティック群 G とその対称部分群である一般線型群 H を考える.2017年度には,二重旗多様体 X に付隨する概均質ベクトル空間を考え,基本相対不変式の冪積を核とする積分核作用素 K によって,退化主系列表現の間の intertwining 作用素を構成した.本年度(2018年度)はその積分核作用素の複素パラメータによる解析接続とフーリエ変換を Bent Orsted 教授(Aarhus 大学)・和地輝仁准教授と研究した.研究成果は,ザグレブ大学の研究集会,プラハ・中国三亜の研究集会において発表し,GROUP32 Proceedings に掲載された(2019年4月). 2) 対称対 (G,K) = (GL(2n,C), GL(n,C)×GL(n,C)) の二重旗多様体を考え,モーメント写像と余法束多様体の構造,その既約成分である軌道の余法束の像(冪零軌道になる)の研究を Lucas Fresse 准教授(IECL, Lorraine 大学)と行った.モーメント写像の幾何を組合せ論に翻訳することにより,Robinson-Schensted 対応の部分置換のなす半群への一般化が得られる.論文はほぼ完成しており,専門学術雑誌に発表の予定である.また,ヨーロッパ,米国を中心に談話会やセミナーで研究成果を発表した. 3) 上記研究の他に,ユニタリ最高ウェイトのコホモロジーの計算 (Pavle Pandzic 教授,Rafael Murden 氏との共同研究),実グラスマン多様体のコホモロジー環の研究 (Pavle Pandzic 教授との共同研究),余法束や冪零軌道の余次元一の連結性など,研究課題周辺のテーマについても研究した.また太田琢也教授(東京電機大学)と行った enhanced 隨伴作用とその不変式の論文を専門誌に投稿して受理・出版された.
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