研究実績の概要 |
1) 対称対 (G,K) = (GL(2n,C), GL(n,C)×GL(n,C)) に対する二重旗多様体を考え,モーメント写像とそれに付隨する余法束多様体の構造,およびその既約成分である軌道の余法束の像(冪零軌道になる)の研究を Lucas Fresse 准教授(IECL, Lorraine 大学)と行った.とくに二重旗多様体の軌道が部分置換の対によって分類できる(より正確には部分置換半群の直積を対称群の作用で割った商空間に同型)こと,およびこの部分置換の組から対称対の2種類の冪零軌道へのモーメント写像による対応が組合せ論的に得られることが判明した.この写像を一般化されたスタインバーグ写像と呼ぶが,組合せ論的な記述はロビンソン・シェンステッド対応の一般化になっており,組合せ論的に見ても興味深い.
これらの結果は,2019年6月にドブロブニクで開催された国際集会で発表しており,その報告集を兼ねた米国数学会の学術雑誌に投稿中である.また,得られた結果のうちの "半分" をまとめた論文を投稿中であったが,2020年3月に受理されることが決まり,出版の準備中である.
2) 上記研究の他に,ユニタリ最高ウェイトのコホモロジーの計算 (Pavle Pandzic 教授,Rafael Murden 氏との共同研究),実グラスマン多様体のコホモロジー環の研究 (Pavle Pandzic 教授との共同研究),余法束や冪零軌道の余次元一の連結性など,研究課題周辺のテーマについても研究した.Pandzic 教授および太田琢也教授との共同研究は継続中だが,2020年3月に行う予定であったセミナー,招聘事業がコロナウィルスの感染拡大によって中止を余儀なくされ,現在その対応に関して協議中である.
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