研究実績の概要 |
1) AIII 型の対称対 (G,K) = (GL(n,C), GL(p,C)×GL(q,C)) の二重旗多様体を考え,K 軌道の分類・次元の決定・閉包関係の記述,2種類の Steinberg 写像を組合せ論を用いて記述するなどの基本的な研究を Lucas Fresse 准教授(IECL, Lorraine 大学)と共同で行った.これらの結果は論文の形にまとめて arXiv に発表,現在専門誌に投稿中である.また,有限体上で考えることにより,K 上のヘッケ環の二重旗多様体の余法束への自然な作用を定義できるが,この表現を生成元と関係式で書き下すことに成功した.ヘッケ環のパラメータを特殊化することでワイル群(この場合は対称群の直積)の表現を得ることができるが,この表現を誘導表現を用いて完全に書き下した.この結果は現在,論文の形にまとめているところである.
AIII 型で得られた結果を用いて CI 型の対称対とその二重旗多様体についても,軌道の埋め込み理論を用いて余法束多様体を研究できることが分かっておりそれはすでに,米国数学会の速報誌 Contemp Math に掲載された.しかし,この結果はまだ完全ではなく,Fresse 教授とのオンラインセミナーで完全な結果が得られるように研究を進めている.
2) 上記研究の他に,ユニタリ最高ウェイトのコホモロジーの計算 (Pavle Pandzic 教授,Rafael Murden 氏との共同研究),実グラスマン多様体のコホモロジー環の研究 (Pavle Pandzic 教授との共同研究),一般化された隨伴作用の研究(太田琢也教授との共同研究)などが予定されていたが,コロナ感染症のパンデミックによって研究は停滞している.再度の研究期間の継続申請が認められたので,パンデミック状況が落ち着くのを待って研究を再開する予定である.
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