研究実績の概要 |
標数が2でない任意の可換無限体上の 2n 次(n は2以上)split 直交群の多重旗多様体が4つ以上の成分からなるとき、無限型(軌道の数が無限個)であることを証明した。これによって、3重旗多様体を調べればよい。 6、8、12次の直交群の典型的な無限型3重旗多様体を構成した。これらを直既約成分に持つものを除外することにより、有限型になるための必要条件を与えた。さらに、体の平方に関する条件で無限型になる10次の直交群の無限型3重旗多様体を構成した。これによって体に依存する場合の必要条件も記述した。これは、後の有限性の証明の過程で必要性がわかったものである。 以上の条件によって、無限型の場合をすべて排除し、有限型になるための必要十分条件を記述する定理を定式化した。 以上の条件の下で、すべての場合に有限型であることを証明した。初めに、すべての成分が full flag variety でない場合を証明した。奇数次のときの証明方法を用いるが、条件が複雑なため、かなりの技巧的な補題を準備する必要があった。 最後に1つの成分が full flag variety の場合を証明した。Stembridge によって、体が複素数体の場合は示されているが、任意の体上で case-by-case の証明を与えた。奇数次の場合の私の結果(J. Alg. 425(2015), 450-523)と合わせて、任意の体上の直交群の多重旗多様体が有限型になるための条件は完全に決定された。以上の結果をプレプリントとして arXiv:1903.06335 に発表し、雑誌に投稿した。
|