研究実績の概要 |
Lauricella により導入された m 変数超幾何微分方程式 F_D は、局所解空間が m+1次元であり、解の積分表示が存在する。パラメーターに関する非整数条件下では、その積分表示はねじれホモロジー群とコホモロジー群のペアリングとみなせ、ねじれホモロジー群と F_D の局所解空間は線形空間として同型になる。しかし、その条件をみたさない場合は、ねじれホモロジー群と F_D の局所解空間との同型が崩れてしまう。そこで、相対ねじれ(コ)ホモロジー群を導入し、それらがみたす基本性質を整理して、いかなるパラメーターに対しても、F_D の局所解空間と相対ねじれホモロジー群の線形同型が成立することを示した。さらに、この線形同型を利用して、あらゆるパラメーターに対して有効なモノドロミー表現を相対ねじれホモロジー群間に定まる交点形式を用いて、具体的に記述した。その系として、モノドロミー表現が自明になるためのパラメーターに関する必要十分条件を与えた。これらの結果は、http://arxiv.org/abs/1804.00366 にて公開されている。 Gauss の超幾何微分方程式の2つの局所解の比をとることで得られる(多価)写像は Schwarz 写像と呼ばれる。パラメーターがある種の整数条件をみたすと、その像は上半空間となり、逆写像が1価正則写像になる。Gauss の超幾何微分方程式を2変数超幾何微分方程式系 Appell F_2(1/2,1/4,1/4,1/2,1/2) に拡張することで、モノドロミー群が三角群 (2,∞,∞) となる Schwarz 写像の拡張を行った。その逆写像を Schwarz 写像に関する種数3の代数曲線の Prym 多様体を考察することで、テータ関数を用いて具体的に表示した。この結果に関しては、現在論文を作成中である。
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