研究課題/領域番号 |
16K05093
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
中山 能力 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70272664)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 代数幾何 / ホッジ理論 |
研究実績の概要 |
当研究はマンフォード‐テイト領域の部分コンパクト化を、log 幾何を用い、代数群の作用付き対数ホッジ構造のモジュライ空間として構成することを目ざすものであった。29 年度は、加藤和也氏、臼井三平氏と共同で、理論の細部についての議論を深め、また関連して、伊藤哲史氏、加藤和也氏、臼井三平氏と共同で、対数的 motif についての研究を行ない、その成果を取りまとめた論文を執筆した。
その概要は以下の通りである。1. 論文の概観。2. log幾何からの準備。エタール、Betti、de Rham、ホッジの各コホモロジー論の log 版におけるポアンカレ双対定理やクネスの公式等の基本定理。いわゆる加藤扇とその非特異化。対数的概型のGrothendieck 群とリーマン‐ロッホの定理。3. 対数的純 motif の定義。これは古典的な Grothendieck motif と並行的に定義される。この節の主定理は、対数的純 motif の圏を数値的同値で割った圏が半単純であるということで、Jannsen の定理の log 版にあたり、証明も同様である。4. 対数的混合 motif の定義。これは Deligne の幾何的混合ホッジ構造の圏の定義をなぞったもので、エタール実現を用いる。古典的な場合、混合 motif の新しい定義を与えてもいる。各 graded piece が純 motif であるという一見弱い条件で十分であると考えられる理由も説明されている。ここでの主定理は、対数的純 motif の圏での数値的同値が自明であるならば、対数的混合 motif の圏が淡中圏になるということである。5. 他の実現を用いた場合の定義。ホッジ予想、テイト予想など各種の予想の定式化。6. それらの予想の、曲線などの場合の肯定的結果。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究はマンフォード‐テイト領域の部分コンパクト化を、log 幾何を用い、代数群の作用付き対数ホッジ構造のモジュライ空間として構成することを目ざすものであるが、2年間で理論の大枠が確定し、関連した対数的 motif の研究も進んでいるため、おおむね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の予定通り、共同研究者の加藤和也氏、臼井三平氏と緊密に連絡を取り合い、マンフォード‐テイト領域の種々の部分コンパクト化の詳細な研究、対数 motif 理論の研究、また幾何的対数ホッジ構造の研究などに取り組む方針である。
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