三角圏の局所化部分圏(localizing subcategory)とは、直和を取る操作で閉じた充満三角部分圏のことである。局所化部分圏の研究において最も主要なテーマの一つが、与えられた三角圏に対しそれの局所化部分圏をすべて分類するというものである。具体的には、任意の局所化部分圏を別のよりわかりやすいもので表現することを意味する。最初の分類定理は1992年にNeemanによって与えられた。Neemanは、可換ネーター環の非有界導来圏の局所化部分圏全体と素イデアルの集合全体の間に一対一対応を作り、それを与える全単射もexplicitに与えた。近年、三角圏の局所化部分圏の研究は数学の多くの分野にまたがって広く深く行われている。
局所化部分圏は特にthick部分圏になることが知られており、導来圏の局所化部分圏の分類研究は本研究課題に直結するものである。本年度は、可換ネーター環の非有界導来圏の局所化部分圏のうち「n一様」(n-uniform)と呼ぶものを定義した(nは自然数または∞)。n一様ならば(n-1)一様であり、∞一様は無条件となり、0一様はsmashing、1一様はコホモロジー閉を意味する。また、素イデアルスペクトラムの部分集合のうち「n連結」(n-coherent)と呼ぶものを定義した。n一様性と同様にn連結ならば(n-1)連結、∞連結は無条件であり、0連結は特殊化閉、1連結はKrauseの意味での連結を意味する。そして、n一様局所化部分圏とn連結部分集合の間にFoxbyの意味での小台(small support)を用いて一対一対応を構成することができた。これは前述のNeemanの定理の他、いくつかの既存の分類定理を包括するものである。これら一連の結果は論文にまとめて海外の査読付き学術誌に現在投稿中である。
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