研究実績の概要 |
本研究ではbalancedと呼ばれる良い彩色構造を持つ単体分割の組合せ構造に関する研究を行っている。本研究の主要な目的の一つは, completely balancedと呼ばれる彩色条件を満たす単体的凸多面体について知られている Balanced Generalized Lower Bound Theoremと呼ばれる定理を, より一般の a-balanced と呼ばれる条件の場合に一般化することである。この問題の研究において、a-balancedな多面体の単体分割のスタンレー・ライスナー環を、彩色から誘導される巴系で割って得られるアルチン環がレフシェッツ性と呼ばれる環の性質を満たすか、という問題を調べることが問題解決のための重要な課題の一つであった。この問題に関し, David Cook II, Martina Juhnke-Kubitzke, Eran Nevoらとのの研究により (1,1,1)-balancedの場合にはレフシェッツ性を持ち, (2,1)-balancedの場合には必ずしもレフシェッツ性を持たないという結果を得た。また、可換環論の分野において、全ての完全交差環が標数0の体上でレフシェッツ性を持つか調べよ、という未解決問題があるか、この問題について、Martina Juhnke-Kubitzke, Rosa Miro-Roig, Akihito Wachiらとともに、次数2の二項式で一次式の積である多項式で生成される完全交差環がレフシェッツ性を持つという結果を得た。加えて、単体分割の面の個数を調べる際に重要な不変量の一つであるlocal h-vectorと呼ばれる不変量に関し, Martina Juhnke-Kubitzke, Richard Siegらとともの重心細分を取ったときのlocal h-vectorに関するAthanasiadisの問題を肯定的に解決するという研究成果も得た。
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