研究課題/領域番号 |
16K05102
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
村井 聡 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90570804)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 単体分割 / 凸多面体 / f-列 |
研究実績の概要 |
凸多面体や単体分割の組合せ構造の研究・グラフの頂点彩色の研究は組合せ論における主要な研究課題の一つである。本研究ではbalancedと呼ばれる良い頂点彩色を持つ凸多面体や多様体の単体分割の組合せ構造に関する研究を行っている。 本年度は主に閉曲面の場合にbalancedな単体分割に関する研究を行った。昨年度までの研究において新潟大学の鈴木有祐氏との共同研究で閉曲面のbalanced単体分割に関するcross flipと呼ばれる操作についての研究を進め、閉曲面の任意の二つのbalanced単体分割が有限個の例外を除いて五角形変形と呼ばれる簡単な操作の繰り返しで移り合うことを発見していた。この研究結果について、鈴木有祐氏とシアトル大学のSteven Klee氏と共同でさらに研究を進め、種数が小さい閉曲面の場合に、五角形変形で移り合うことができない有限個の例外に当たる単体分割を全て決定し、そのような単体分割は完全多重グラフから来るもののみであることを発見した。また、種数が高い場合には完全多重グラフから来ないものがある事も発見し、これまでの研究と合わせて、閉曲面のbalanced単体分割のcross flipおよび五角形変形に関する研究の基礎を確立した。 また、5次元凸多面体の組合せ構造に関する研究も行い、5次元凸多面体の頂点と辺の個数の組の取りうる値を完全に決定するという研究成果を得た。本結果は1967年に得られたGrunbaumの4次元の場合の結果を拡張した結果となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までにbalancedな単体分割の辺の個数に関するKleeとNovikの予想およびbalancedな3次元凸多面体のスタンレー・ライスナー環のレフシェッツ性に関する問題を解決し、当初予定していた目標の半分を解決しており、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまで良い頂点彩色を持つ多様体や凸多面体の単体分割に関する組合せ論的な性質とスタンレー・ライスナー環のレフシェッツ性に関する研究を進めて来たが、今後の研究では、これまでの研究手法を応用することで、良い頂点彩色を持つ単体分割の面の個数に関する新しい性質を発見することを目指す。
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