研究課題/領域番号 |
16K05103
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
福間 慶明 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (20301319)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 代数学 / 代数幾何学 / 偏極多様体 / 豊富な因子 / 随伴束 / nefかつbigな因子 |
研究実績の概要 |
この研究では、偏極多様体の随伴束が大域切断を持つかどうか、もし持つならばどの程度持つかについて、偏極多様体の不変量を用いて考察を行うことを主目的としている。今までの研究で様々な結果が得られているが、令和元年度においては以下のような成果を得た。以下では(X,L)をn次元偏極多様体、KをXの標準因子とする。(1) 昨年度に行ったXの次元nが5の場合についてBeltrametti-Sommese予想「もしK+(n-1)LがnefならK+(n-1)Lが大域切断を持つ」に関する研究成果の論文を投稿して掲載が決まり出版された。 (2) tがn+1以上のとき, n次元偏極多様体の随伴束K+tLの大域切断のなす次元の下限について考察し, n=5かつLが大域切断を持つ場合に, 以前予想していた結果が成立することに関する論文を作成した。(3) Okounkov体の理論を用いて偏極多様体の不変量の一つであるΔ-種数の下限の値に関して考察し、2次元の場合についてΔ-種数の非負性の別証明などについて考察した結果を論文として作成し投稿していたが、掲載が決まり出版された。(4) 標準因子が数値的に自明である場合のn次元準偏極多様体(X,L)に対して,mがn-3以上の任意の整数に対してK+mLは大域切断を持つことを証明した。これにより標準因子が数値的に自明である場合のn次元準偏極多様体(X,L)に対してはBeltrametti-Sommese予想が正しいことを示すことに成功したことになる。これについて論文を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この度の科学研究費補助金で研究してきた内容についての論文の掲載がいくつか決まり、偏極多様体の随伴束の大域切断のなす次元に関する考察が進捗している様子から判断した。令和元年度が本研究の最終年度の予定であったが、新型コロナウイルスの関係で予定の出張等が中止になり、次年度も延長して本研究を課題として取り組むことになるが、さらなる進展を期待したい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針は以下のものである。(1) Xの次元nが5の場合について予想「もしK+(n-1)LがnefならK+(n-1)Lが大域切断を持つ」の考察をさらに進めていく。またXが特別な場合についてこの予想が成り立つかについても研究を行う。(2) 3次元多重偏極多様体(X,A,B)に対して随伴束K+A+Bの大域切断のなす次元が2の時の(X,A,B)の分類に関する研究について引き続き行う。(3) n次元偏極多様体(X,L)に対し、K+nLの大域切断のなす次元が2となる(X,L)の分類の研究を引き続き行う。(4) 上記の研究の過程で新たな研究課題が生じた場合には、それについて研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で参加予定の学会が中止になってしまったため。 研究成果の発表のための旅費、研究に必要な書籍や消耗品等の購入で使用する予定である。
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