研究実績の概要 |
高次元連分数を定義し, 巡回商特異点並びにDedekind和に応用することについては論文を作成し, 業績欄にあるように2019年に出版された。その後、この方法の応用として代数体の基本単数の明示公式の問題に取り組んでいるが, 現在まだ解決を見ないまま鋭意研究中である。 種数3の非超楕円的ファイバー芽のHorikawa指数による分類は, 長年の懸案であったが, 以下の経緯となった。モジュライ点がDeligne-Mumford コンパクト化の内点もしくは余次元1ストラタに入る場合は, Eichler 跡公式の精密化その他が有効であり, 2016年にこの条件下で50ページ程のプレプリントを作成した。ただ部分的結果であり発表する気持ちになれないまま研究を続行し, 2019年になって任意の場合に膨大な計算を経て完了した。その後, この議論の整理を始め, 安定曲線及びその自己同型の型をうまく分類すれば証明を相当短縮できることがわかった。当該期間中には発表論文を完成することができなかったものの, それが近いと感じている。 上記を研究中, 一般のファイバー芽の位相構造を定めた上での解析構造全体のあり方についてのアイデアを得た。それを松本幸夫氏に伝えたところ, 氏が最近開発した極限タイヒミューラー構造を経由するオービフォールド構造と密接に関係することがわかり, 2019年前半から共同研究を開始した。我々の初期目標はほぼ達成されているが, より広い意味のテーマを追求することにして共同研究を続行しており, これも当該期間中の論文作成には至っていない。
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