研究課題
基盤研究(C)
ヒッグス束の初等的・純代数的理論の構築に取り組み、以下を証明した。1) ベクトル束作用をもつ層の半安定性が高次数一般超曲面制限で保たれるという Mehta-Ramanathan 型定理 2) ベクトル束の可積分作用をもつ層の半安定性がテンソル積で保たれるというテンソル積保存定理 3) 接束の可積分作用をもつ半安定層(半安定 Higgs 層)のチャン類に対する Bogololov 不等式。これらの結果により,微分方程式やホッジ理論に依存していたヒッグス層の理論を、純粋に代数幾何的な方法により再構成した。
代数幾何学
理論物理から生まれたヒッグス層は、微分方程式論、微分幾何学、代数幾何学など、純粋数学のさまざまな分野においても重要な役割を果たしつつある。しかしながら従来のヒッグス層理論は、ゲージ理論、すなわち非線形偏微分方程式論 (C. Simpson, T. Mochizuki) や、 p 進ホッジ理論 (A. Langer) といった大道具を用いており、きわめて難解なものであった。われわれの研究はヒッグス層の基礎理論に明快かつ初等的な枠組みを与え、見通しをよくするものである。