研究課題/領域番号 |
16K05115
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
宮西 正宜 関西学院大学, 数理科学研究センター, 客員研究員 (80025311)
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研究分担者 |
増田 佳代 関西学院大学, 理工学部, 教授 (40280416)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ジャコビアン予想 / ユニポテント幾何 / アフィン代数多様体 / 不分岐自己準同型射 |
研究実績の概要 |
本課題研究において,代数多様体のもつアフィン直線束構造や加法群の作用の存在について研究した.また,その応用として代数多様体の不分岐自己準同型射に関する一般ジャコビアン予想を考えた.それぞれの問題において,新しい知見が得られた.成果は,一層の深化と充実を待って発表する予定である. 海外の研究集会としては,次の会に出席し,講演または議論を行った. 1.The 39th September Algebraic Geometry School on Complex Affine Geometry (ポーランド大学ルケンチン保養施設,2016/9/17-2016/9/26) Warsaw大学のM. Korasと科学アカデミーのK. Palkaが主催した研究集会で,K. Palkaの「対数的ミニマル・モデル プログラム(log MMP)と(X,(1/2)D)の場合の応用としてのNagata-Coolidge予想」,A. Duboulozの「消去問題と関連する話題」及び岸本 崇「高次元log MMPとaffine uniruledness」の3つの学生と若手研究者向けの連続講演があった. 2.Workshop on higher dimensional algebraic geometry, holomorphic dynamics and their interanctons(シンガポール大学.数学研究所,2017/1/9-2017/1/20) 2週間に及び講演数も50に達する,大規模かつ分野横断的な研究集会であった.その分,高次元birational geometry, 数論的代数幾何学およびdynamical systemをmain themesとし,研究方法も多岐にわたったといってよい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高次元代数多様体のユニポテント幾何については,アフィン直線束またはアフィン平面束を用いて構造の解明を図った.また,加法群の作用による商射を使って,3次元多様体の場合には,特異ファイバーの構造や特異ファイバーのローカスについて,新しい知見を得た. 代数多様体の不分岐自己準同型射に関する一般ジャコビアン予想に関しては,正規アフィン曲面A^2/Gの場合を考えた.この場合に予想が正しければ,有限群の作用と同変な2次元ジャコビアン予想が導かれる.完全解に至っていないが,部分的結果でも興味深いものが得られている. 正標数の基礎体上で代数曲面の特異点を考えると,様々な特異現象がおこる.これらをまとめた本を執筆中である.
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今後の研究の推進方策 |
3次元の対数的極小モデルの理論を,如何にしてユニポテント幾何に取り込むかを考える.一つのアフィン直線束を保ちながら,極小モデルが得られることを示せば,かなりの応用が考えられる. 3次元ホモロジー多様体,すなわち,正則3次元アフィン多様体でA^3と同じ整係数ホモロジー群をもつもの,の構造と分類を考える. 正標数代数曲面の本の執筆を続け,その完成を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国内研究集会(城崎代数幾何学シンポジウム,代数学研究集会)に所要のために出席できなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
正標数の代数曲面論の本を執筆中である.そのために,TeX環境を一新する必要があり,ラップトップ・コンピュータを購入するのに使用する.
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