研究課題/領域番号 |
16K05115
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
宮西 正宜 関西学院大学, 特定プロジェクト研究センター, 客員研究員 (80025311)
|
研究分担者 |
増田 佳代 関西学院大学, 理工学部, 教授 (40280416)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | アフィン空間 / ファイブレーション / 代数曲面 / 正標数 / ジャコビアン予想 |
研究実績の概要 |
R.V. Gurjar(IIT, Bombay), 増田佳代(関学大)との共同研究「アフィン空間ファイブレーション」は2篇の論文に結実している.1つは,「Affine space fibration」として,Kyoto J. Math.に投稿中である.もう1つは「Triviality of affine space fibration」として,Springer Proceedings seriesの1巻に収録される.他に,「Affine space fibration」というタイトルでドイツのDe Gruyter社から刊行する予定で執筆中である. 伊藤浩行と共著の本「Algebraic surfaces in positive characteristics」はWorld Scientific社から2020年6月に刊行予定である.正標数の代数曲面に生じる純非分離的現象を記述するとともに,その過程で生じる様々な有理特異点について論じている.これまでに類書の刊行を見ていない. 一般ジャコビアン予想に関しては,X=A^2/G (Gは有限群)の不分岐自己準同型写像が同型写像になることを,Gの位数が偶数の場合に成立することを証明した.この結果から,2次元のジャコビアン予想のG-共変な場合(やはりGの位数が偶数の場合)に成立することが導かれる.共変という特別な場合であるが,ジャコビアン予想について肯定的に述べた結果である.この研究は,新規の科研費課題研究として継続する予定である. 以下の研究集会に参加して関連する話題について議論した.代数学シンポジウム(東北大,9/3-9/4),日本数学会秋季分科会(金沢大,9/18-1/19), 東京理科大(9/22-9/23), 城崎代数幾何学研究集会(10/21-10/25).
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
射影的代数幾何学における射影空間の役割は非常に大きい.同様の役割がアフィン代数幾何学で,アフィン空間に求められる.アフィン空間の次元とも関係があるが,研究は良く進捗していると考える.特に,加法群G_aを仲立ちとする代数群の商射の研究が大きな役割を果たしている. ジャコビアン予想の研究においては,代数多様体の興味深い幾何や構造と深く結びついた方向が見えてきている.特に,Fano多様体の反標準因子(有効因子として存在する場合)に,その余集合であるアフィン多様体に関する一般ジャコビアン予想が反標準因子の幾何的性質と関係している.
|
今後の研究の推進方策 |
上記の進捗状況欄に記した,一般ジャコビアン予想とアフィン代数多様体のユニポテント構造の関連を明確にしたい.できれば,Singapore国立大学のDe-Qi Zhangを含めた研究体制を考えているが,コロナ感染症流行で外国人研究者との協力がスムースに行くか予測できない.7月にロシアSt. Peterburgの研究集会参加と2021年1月のIIT, BombayにおけるR.V. Gurjarとの共同研究の予定がどうなるか判らない.
|
次年度使用額が生じた理由 |
Edinburgh大学のIvan Cheltsov教授が主催した研究集会「Conference on Algebraic Geometry in Auckland (New Zealand)」(2019年12月16日~20日)に出席して,「A^2/Gの一般ジャコビアン予想」について講演する予定であったが,招待状が届くのが遅くて,十分な準備期間が取れないことから出席を取りやめた. 代わりに,2020年7月にロシアのSt.Petersburgのオイラー研究所で催される代数幾何学研究集会の招待講演に応じるために使う.
|