研究実績の概要 |
本研究の目的は, 相対 de Rham, 相対 Dolbeault, 相対 Bott-Chern 等のコホモロジーを用いて, 特性類の局所化を調べ, さらに局所双対性によって得られる留数を明示的に求め, その応用を図ることである. 研究成果は次の通りであるが, 特に 2020-22 年度は COVID-19 の影響で研究打合せ等に大きな制約を受けた. そのため, 今までに築いた理論を再整備をし, 将来のさらなる発展に備えることにも力を注いだ. 1. 研究代表者は特性類の局所化理論に基づく複素解析幾何学の本を書き進めていた. 局所化された解析的交叉理論, 埋め込みに対する Riemann-Roch の定理等につき詳細な考察を行い, 完成に近づけた. これは複素解析幾何学および関連分野における基本的な書物となることが期待される. 2. 関数の概念を拡張するものとして佐藤超関数があり, これは特に微分方程式論に画期的発展をもたらした. この理論は導来函手の言葉で展開されるが, 実際に用いるには具体的に表す必要がある. 本研究代表者は相対 Dolbeault コホモロジーによる表現が極めて有効であることを見出し, この立場からの超関数論を本多尚文, 伊澤 毅と展開し共著論文として発表した. 3. 上記 2 で本質的に重要な層係数相対(局所)コホモロジーの細層複体による表現理論を展開し, 種々の応用を示した. これは単著論文として発表した. 4. その他, Lefschetz 一致点定理の一般化(J.-P. Brasselet との共同), 相対 Bott-Chern コホモロジーの理論と応用(M. Correa との共同), 複素多様体の blowing up による Hodge 構造の挙動(D. Angella 等との共同)等の研究を完成させ, それぞれ共著論文として発表した.
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