研究課題/領域番号 |
16K05122
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関口 英子 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (50281134)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ペンローズ変換 / ユニタリ表現 / 有界対称領域 / 表現の分岐則 / 複素多様体 / リー群 / グラスマン多様体 / 積分幾何 |
研究実績の概要 |
半単純リー群の既約ユニタリ表現は,1940 年代より 70 年以上にわたる深い研究がなされて,既約表現のいくつかの重要な系列は代数・解析・幾何の様々な手法を用いて発見・構成されている.一方,既約ユニタリ表現の分類は大きな未解決問題として我々の前に立ちはだかっている.その困難の一因は,無限次元表現のうち,特異な振る舞いをするものが存在することにある. 本研究では当該研究代表者が従前行ってきた「ペンローズ変換による無限次元表現の研究」を発展させ,非コンパクトな複素多様体における積分幾何によって,特異なユニタリ表現の二つのモデルが結びつく原理の解明を目指す. X が簡約リー群 G の余随伴楕円軌道であるとき,X は G の作用が双正則となるような複素構造をもつ.さらに,X が対称空間の構造をもつ場合に着目し,そのサイクル空間 Z(X) を G が古典型の場合に考える.サイクル空間 Z(Y) をもつ複素多様体 Y であって,Y 自身は X と双正則ではないが,サイクル空間 Z(X) と Z(Y) は同型となるようなものとする.それらに対して,積分幾何の研究を行った.特に p+q 次元の複素ベクトル空間に符号 (p,q) の不定値エルミート計量を入れ,この計量に関して正定値となる k 次元平面からなる集合を X とおく.X には複素多様体の構造が入り,さらに,自然に(不定符号の)ケーラー計量が定義される.X はコンパクトではないが,通常のグラスマン多様体Gr_k(Cp)をコンパクトな部分多様体として含む.この通常のグラスマン多様体 Gr_k(Cp) と同型な部分多様体をパラメトライズする空間(サイクル空間)Y に複素多様体の構造が入り,さらにこのサイクル空間を明示的に決定した. 最新の結果を Reims University (フランス)の Colloquium で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は当該研究代表者が従前行ってきた「ペンローズ変換による無限次元表現の研究」に立脚し,その幾何的な解明を目指すものである. 研究目的を達成するための第一の段階として,古典型簡約リー群が双正則に作用する開複素多様体 X のサイクル空間 Z(X) を具体的に計算し,特に 2 つの異なる複素多様体が同型なサイクル空間を有するための例を発見した.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究をふまえて,今後の研究目標として,サイクル空間に対する積分幾何の構成を考えている. 複素多様体 X 上の正則直線束 L に値をもつ k 次閉形式を k 次元のコンパクト複素部分多様体(サイクル)上で積分することによって,サイクルをパラメトライズする多様体 Z(サイクル空間)上のベクトル束 V に値をもつ函数が得られる.コホモロジー H*(X,L) から H*(Z,V) への対応が(一般化された意味での)Radon--Penrose 変換である.ここで最も重要となるのは得られた変換の像と核を表現論を援用して具体的に決定することである.
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