研究実績の概要 |
この研究は,計算代数統計学において開発された手法に注目し,微分幾何学的な視点から再検討を行うことを出発点としている.ホロノミック勾配降下法は,微分作用素環のグレブナー基底の理論,微分方程式の数値解法,統計的推定理論などを全て用いて統計的モデルの解析を行う方法である.ホロノミック勾配降下法について,専門家から情報収集を行いつつ,アフィン幾何学的な視点から再検討を行っている.また,これまでの概接触構造を持つ部分多様体の研究経験を活かし,複素構造が導入された統計多様体の部分多様体についても考察を進めている. 特に統計多様体については,北海道大学で行われたミニワークショップ「統計多様体の幾何学とその周辺」に参加し,統計多様体や,情報幾何学の専門家と有益な情報交換を重ねることができた.また,当該年度に深層学習ライブラリ検証用に計算機システムを購入し検討を重ねている.2018年8月28日に「数学ソフトウェアとその効果的教育利用に関する研究」において,講演「ニューラルネットワーク作成による数学学習の動機付け」を行った.2019年3月16日に「数学ソフトウェアとフリードキュメント/28」を東京工業大学で開催し,最近の計算代数統計学の進展に対する微分幾何学的展開について議論を行った.「数学ソフトウェアとフリードキュメント」については,様々な分野の研究者が集い交流を行う貴重な機会となっている.2019年3月には,幾何学,トポロジー,計算機代数,代数統計等の複数の専門家の協力を得て,数学に関連するオープンソースソフトウェアを収集したコンピュータ環境MathLibre 2019を開発,公開を行った.
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