この研究は,計算代数統計学において開発された手法に注目し,微分幾何学的な視点から再検討を行うことを出発点としている.ホロノミック勾配降下法は,微分作用素環のグレブナー基底の理論,微分方程式の数値解法,統計的推定理論などを全て用いて統計的モデルの解析を行う方法である.ホロノミック勾配降下法について,専門家から情報収集を行いつつ,アフィン幾何学的な視点から再検討を行っている.また,本研究では計算代数の応用面にも興味を持って進めている.本年度については,新型コロナウィルス感染症の影響を受けて研究会の実施,参加はオンラインと対面を合わせたハイブリッドで行われた.
2021年12月11日にオンライン開催された統計数理研究所共同研究集会「動的幾何学ソフトウェアGeoGebraの整備と普及」において,GeoGebra Classroomについての発表を行った.これは,最近実装されたWebサービスであるが,オンラインでの演習を支援する仕組みである.大阪市立大学で毎年行っている特別講義において,微分幾何学の初歩的な概念を紹介する上で重宝している.2022年3月27日に「数学ソフトウェアとフリードキュメント/33」をオンラインで主催し,数論計算ライブラリNZMATH 3.0,吊り下げ曲面に関する数学と建築の連携研究,データサイエンス教育および産官学連携の現状についての情報交換を行った.このワークショップは様々な分野の研究者が集い交流を行う貴重な機会となっている.2022年3月28日にハイブリッド開催されたRisa/Asirカンファレンスにおいて,MathLibre 2022について紹介を行うことが出来た.諸般の理由により,残念ながらMathLibre 2021を公開することはできなかったが,1年半ぶりに新しい版を公開できたことは大きな進展である.
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