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2017 年度 実施状況報告書

3,4次元多様体の種々の不変量とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 16K05146
研究機関京都大学

研究代表者

上 正明  京都大学, 理学研究科, 教授 (80134443)

研究分担者 加藤 毅  京都大学, 理学研究科, 教授 (20273427)
藤井 道彦  琉球大学, 理学部, 教授 (60254231)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード3次元多様体 / 4次元多様体 / Seiberg-Witten理論 / Heegaard Floerホモロジー
研究実績の概要

研究代表者の上はSeiberg-Witten理論やHeegaard Floerホモロジー理論に由来する3次元多様体の不変量の研究を継続した.すでに3次元多様体の中でもザイフェルト有理3次元球面と呼ばれる特別なクラスについて,その組み合わせ的に定義されるmu-bar不変量がある条件のもと解析的に定義されるエータ不変量を用いて表されることをSeiberg-Witten理論を用いて示し,それを経由してHeegaard Floerホモロジー理論に由来する補正項不変量と呼ばれるものとの関係を明らかにした.一方それ以前により広いクラスであるグラフ多様体の範疇で特別な場合にこれらの不変量の関係を別の方法で明らかにしているが,両者を統合して議論するにはなお課題が多い.またManolescuが定義したkappa不変量はホモロジー3球面については
ホモロジーコボルディズム不変という性質を持ち,StoffregenやDaiがある種のグラフ多様体の場合にmu-bar不変量とこの不変量の関係を明らかにしている.しかしこれらの不変量とHeegaard Floer理論との関係は十分明らかになっておらず,研究代表者の得た結果や方法論との関連を試みて研究を継続しているが,いまだ完全な解明に至っていない.また数年来懸案となっている自身の結果も一部含めた4次元多様体の解説書の執筆については,近年の進展,Manolescuにより新たな不変量の発見,Kutluhan-Lee-Taubesによる Seiberg-WittenとHeegaard理論のFloerホモロジーの等価性,ZemkeによるHeegaard Floer理論由来の4次元多様体の不変量のwell-definednessの証明などを取り込んだ部分の執筆は当該年度に完了しているが,なお若干の加筆が必要な段階である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

有理ホモロジー3球面の組み合わせ的に定義される不変量とSeiberg-Witten理論やHeegaard Floerホモロジー理論に由来する不変量の関連を探る上で新たに登場したManolescuの不変量との関係を調べる必要が生じているが,この不変量の計算の困難さから解明が容易にすすんでいない.
またStoffregenやDaiのManolescu不変量に関する新たな結果を研究代表者の手法と結び合わせることを試みているがこちらもまだ完全には解明に至っていない.
一方4次元多様体の解説書の執筆については,当該年度中に完成させる予定であったが,多くの新たな知見を取り込んで内容を増やしたため,なお加筆すべき点が残っている.
ただし2017年度までに得られた重要な結果に一部を除いて言及しており若干の補筆で完成させられると考えている.

今後の研究の推進方策

研究代表者が考えてきた不変量の研究をManolescuの不変量などによってもたらされた新たな知見と結び合わせるには,
精密化されたSeiberg-Witten不変量やsFloer ホモトピータイプの理論などより包括的な枠組みを理解する必要があり,
それらをより理解することでいまだ十分解明出来ない他の既存の不変量との関連,3次元多様体を境界とする4次元多様体への応用などの研究に関する進捗の遅れを取り戻したい.また4次元多様体の解説書については,近年の主な成果についての加筆を当該年度中に行っており,これ以上本質的に新たな加筆は行わないが,若干の補筆が必要なため,これをなるべく早く行いたい.またそこにも取り込んだHeegaard Floer理論由来の4次元多様体の不変量の理論は,Ozsvath-Szaboが提唱してからZemke等がそのwell-definednessを示すまで長い時間がかかっており,その本格的応用はそれほどすすんでいない.
この不変量の応用についても考察を進めたい.

次年度使用額が生じた理由

内外の新たな研究の進展に伴い,それらを理解した上で研究代表者の研究手法をねり直す必要があった.また4次元トポロジーの解説書の執筆は新たな知見を取り込んで内容を拡充させたために多大な時間を要した.このため研究の発表なども遅れたため使用額が予定より少なくなった.研究の進捗の遅れを取り戻すため,より多くの研究集会などに出席し研究者との意見交換や新たな知見の吸収,発表に努めるために助成金を使用したい.

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公開日: 2018-12-17  

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