研究課題/領域番号 |
16K05149
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
寺垣内 政一 広島大学, 教育学研究科, 教授 (80236984)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 不変順序 / 結び目群 / 3次元多様体 / 共役ねじれ元 |
研究実績の概要 |
3次元球面内の結び目に対して,その補空間あるいは外部空間の基本群を結び目群とよぶ.境界であるトーラス上のスロープに対して,その正規閉包の間の関係を研究した.その結果,双曲結び目において,無限個のスロープに対して,それらの正規閉包の共通部分は自明であることを証明した.この成果は共同研究者が2017年11月に韓国で開催された第2回トポロジーと応用に関する環太平洋国際会議で発表した.現在,論文としてまとめており,国際学術雑誌に投稿中である.また,一般にスロープの正規閉包の間に成り立つ様々な関係について前年度末に実績として記載したが,論文としてまとめ,すでに国際学術雑誌に投稿し審査を受けている.この内容については,2017年6月の広島大学トポロジー幾何セミナーにおいて,研究代表者が講演を行なった.また,前年度の結果について,2017年8月に行われた拡大KOOKセミナーおよび上述の第2回トポロジーと応用に関する環太平洋国際会議において研究代表者が講演を行なった. 結び目群に限らず,3次元多様体の基本群においては,両側不変順序を許容しない場合,共役ねじれ元が存在すると予想している.今年度は特に結び目のデーン手術によって得られる3次元多様体について,ある条件下で共役ねじれ元を構成した.また,共役ねじれ元の位数という概念を導入し,安定交換子長との関係を見いだすことで,結び目のロンジチュードは共役ねじれ元にならないことを証明した.これらの結果については,2018年2月にアメリカ・テキサス大学オースチン校でのトポロジーセミナーにおいて研究代表者が成果発表を行った.現在,論文にまとめている段階である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は2本の論文を国際学術雑誌に投稿し,さらに1つの論文をまとめている段階にある.また,国際会議で1回,海外の研究機関で1回,国内では2回の成果発表を行った.
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き,結び目群や3次元多様体の基本群に含まれる共役ねじれ元の構成を中心に研究を進める.また,結び目の巡回分岐被覆空間の基本群も視野に入れる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
アメリカへの渡航を行なったが,費用に関して予定よりも安価に実施できたことが原因である.少額ではあるが,次年度に余裕を持って旅費に使用する.
|