研究課題
有限半順序集合に対し,その順序複体を考えることにより,有限半順序集合と向きを保つ写像の圏から,有限単体的複体と単体写像の圏への関手Kが得られる.一方,有限集合上の半順序構造とT_0分離公理を満たす位相構造(T_0位相構造)は一対一に対応し,またこれらの同一視により,半順序集合間の向きを保つ写像は,連続写像に対応し,よって,関手Kは有限T_0空間と連続写像の圏から有限単体複体と単体写像の圏への関手と考えられる.この関手Kは忠実であるが充満でないことが知られているが,有限半順序集合間の比較可能対を比較可能対に移す写像(以下CP写像と呼ぶ)も順序複体間の単体写像を誘導し,このことより関手Kは,有限T_0空間とその間のCP写像の圏exTop上に拡張され,これにより忠実かつ充満な関手が得られる.一方,有限T_0空間の間の連続写像のホモトピーは順序複体間の単体写像の強ホモトピーを与える.そこで研究代表者はこれまでに,有限T_0空間の間の連続写像のホモトピーをCP写像の間のホモトピーに拡張し,それにより,exTopのホモトピー圏から単体複体の強ホモトピー圏への忠実かつ充満な関手を定めている.ただし,これまでに与えたCP写像の間のホモトピーは必ずしも自然な定義になっていなかったが,これを定義しなおすことにより,より自然な形のホモトピーの定義を得ることができた.さらに,CP写像は必ずしも連続ではないため,ホモトピー群やホモロジー群などの代数的な関手が,この拡張された圏exTopでも定義されるかは不明である.前年度にはホモトピー群の定義を通常の球面からの連続写像のホモトピー類の集合とするのではなく,圏exTop内部で形式化する方法を与えたが,本年度は,より一般的な構成を考えることにより,任意のホモトピー不変な関手がexTopから定義されることを示した.上記以外に,分担者は空間の自己写像集合に関する研究成果を得た.
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Homology, Homotopy and Applications
巻: 21 ページ: 1-22
http://dx.doi.org/10.4310/HHA.2019.v21.n2.a1
巻: 20 ページ: 289-313
http://dx.doi.org/10.4310/HHA.2018.v20.n2.a15