研究実績の概要 |
CWL不変量の応用に関する総合的研究の一環として、有理ホモロジー球面の有理同境に応用した研究を行った。その成果として、“A bound for the Casson-Walker invariant of rational homology null cobordant lens spaces”( 「有理ホモロジー零同境なレンズ空間のキャッソン-ウォーカー不変量の値の境界について」単著、Topology and Its Application 265 )を投稿し、掲載された。有理0同境なレンズ空間のCWL不変量の絶対値が1次元ホモロジー群の位数の1次式で与えられる上限以下になるという現象を述べたものである。これにより、d-不変量の評価への応用や広いクラスの有理ホモロジー球面に対象を拡張する手がかりが得られた。また、低次元トポロジーの研究者に、上記論文用いたCWL不変量の連分数展開による計算公式を示し、主結果に如何に結びつか、また、今後の課題として他不変量との関係という視点での課題について、北陸結び目セミナー(2019年10月)開催にて口頭発表を行い、情報交換も行った。 CWL不変量の応用に関する総合的研究の到達点の一つとして本課題が目標としていたRT-torsionとSW不変量から得られるSW-functionとCWL不変量が整数を法とする関係式の導出に関する進捗状況を”Congruence among the CWL-invariant, RT-function and SW-funcion mod Z”(「CWL不変量、RT関数とSW関数の整数を法とする合同関係」)いうタイトルで金沢大学低次元多様体勉強会(2019年10月開催)にてプレプリントを示し、連続講演を行った。3次元多様体、4次元多様体と数論が交差する興味深い現象として議論や情報交換を行った。なお、プレプリントは、鍵となる補題の証明ができれば、全体が完成する所までの議論をまとめたものである。
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