研究実績の概要 |
本研究の目的は,結び目図式を局所的に変化させる局所変形を用いて,結び目の集合全体の構造の解明や,個々の結び目の位相的性質を把握することである. 平成30年度においては,過去2年度に引き続き単純リボン融合に関する研究を進展させ,さらに昨年度から取り組んでいる,プレッツェル結び目の研究にも注力した.まず,リボン融合は結び目理論において重要な類であるリボン結び目を生成する変形で,単純リボン融合はその特殊な場合であるが,全てではないものの非常に多くのリボン結び目(単純リボン結び目)を生成することができる.また,融合に関わるバンドの本数を型とし,固定された型Mを持つ単純リボン融合を有限回施すことで自明な結び目から得られる結び目をM型単純リボン結び目というが,異なる自然数M,Nに対し,M型かつN型の単純リボン結び目は(1型かつ2型の単純リボン結び目である)スクエア結び目以外に存在するかという問題がある. この問題に対し,既に得られた単純リボン結び目のアレキサンダー多項式の特殊値を検証することで,いくつかのM,Nの組を除いて,そのような単純リボン結び目は存在しないことを示した.次に,パラメータの符号が1つを除いて一致するようなプレッツェル結び目に対し,スライス結び目となる条件を求めた.特に,奇プレッツェル結び目については必要十分条件を得ることができた.いずれの結果も査読付き国際雑誌に投稿するため論文を作成中である.
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