前年度までに解明していたs変形やt変形自由ガウス作用素の分布を具体例として含んでいるだけでなく,ある種の2径数変形ガウス作用素を含む形での一般化に成功した.非自明な例として,適当なスケーリングを施すことにより離散qエルミート多項式と付随する離散確率測度を我々の枠組みで扱えることが新たに分かった.なお,現れる作用素が満たす交換関係には荷重列の影響が色濃く反映されているが,その背後にある代数的構造や物理的背景の理解には及んでいない.さらに,対応するポアソン型作用素や分割統計についても未解明である.これらの解明は今後の興味深いテーマとなろう.出席予定であった国際研究集会(国外開催)がコロナ禍の影響を受け延期または中止となり国際的な場で情報発信する機会を失ったが,国内での非可換確率論や量子場理論に関わるZoomによるオンライン集会において講演発表する機会を得たことは幸いであった.複数の参加者から有益なコメントを頂き有意義であった.その他,ステイオフィスすることで,より広く文献調査を行い新たな知識・知見を獲得することに努めた.なお,コロナ禍の影響は研究集会への出席や講演への影響だけに留まらなかった.研究協力者らとの研究討論や情報交換は,Zoomなどのオンライン会議システムを通しタブレット端末上で実施せざる得なかった.対面での研究討論・情報交換とは異なり精緻に議論を詰める際に様々な困難が生じ,数学研究の難しさを改めて痛感した一年であった.
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