研究実績の概要 |
当該年度は,これまでの研究協力者であった高橋博樹氏(慶應義塾大),中野雄史氏(東海大)に加えて,山本謙一郎氏(長岡技科大)とも共同研究を行った. 高橋氏,山本氏とは,区間上の連続とは限らない区分単調写像の大偏差原理に関する研究を行った.その結果,今までに知られてこなかった大偏差原理が成り立つための判定条件が与えられた. 中野氏とは,ランダム力学系の極限定理に関する研究のほかに,経験分布が収束しない軌道を持つ初期点の集合の豊富さに関する研究を行った.これまで測度0の集合としてあまり注目されて来なかった例外集合に光を当てることによって,力学系の複雑さや熱力学形式論の研究発展に寄与するものと考えている. また,高橋氏とは可微分力学系の大偏差原理に関する2編の論文についてブラッシュアップを行った. 研究成果については,ICMS (Edinburgh, UK)にて開催された研究集会 "Thermodynamic formalism in dynamical systems" ならびに 国立台湾大学 (台北, 台湾) にて開催された国際会議 "12th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications" において発表した.これらの集会では,情報収集のほかに Omri Sarig 氏(Weizmann Institute of Science, Israel),Mike Todd 氏(University of St Andrews, UK),Neil Dobbs 氏(University College Dublin, Ireland),Yuri Kifer 氏(Hebrew University of Jerusalem, Israel)等と力学系の大偏差原理に関する議論を行った.
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