研究実績の概要 |
30年度は1)y^3 = x(x-s) (x - b1)(x -b2)のsがゼロとなる曲線の退化族の極限の検討と、2)一般の閉Riemann面に対応するWeierstrass正規形式を持つ代数曲線のヤコビの逆問題の精緻化と、3)戸田格子の擬周期解と周期解との関係についての考察を行った。 1) Lett. Math. Phys. に29年11月に投稿し31年2月に出版された、巡回型の3次曲線のσ関数のヤコビの逆問題を基に、曲線の退化族の極限の検討に注力した。この (3,4)曲線が退化しその正規化が(3,4,5)曲線となる際のσ関数のふるまいについては、30年3月の広島大学での研究会、8月のウクライナでの国際会議、9月の岡山大学での数学会、31年3月の静岡大学での研究会「幾何,数理物理,そして量子論」などにおける発表・議論によって多くの問題が解決でき、研究は完成に至った。31年7月をめどに投稿予定である。 2) 一般の閉Riemann面は、Weierstrassの正規形式で得られる代数曲線と双有理であることが知られている。ここでいうWeierstrassの正規形式で得られる代数曲線とは、無限遠点がWeierstrass点でその非空隙列が数値半群として得られるものであり、第一微分等がより具体的に構成できる。他方、ヤコビ多様体のテータ因子においてはJorgensonの公式が知られている。これらを組み合わせることで、ヤコビ多様体のより次元の低い部分代数多様体においてもヤコビの逆問題が構成できることを示せた。この結果はLondon数学会Lecture Note(Emma Previato氏 65歳記念特別号)として出版が決まっている。 3)の戸田格子に関しては、現状での関係式の状況を総括・再考した。RIMSでの9月の研究会にて発表し報告書としてまとめた。
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