研究課題/領域番号 |
16K05189
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
堀内 利郎 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (80157057)
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研究分担者 |
下村 勝孝 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (00201559)
中井 英一 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (60259900)
安藤 広 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (60292471)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 加藤の不等式 / CKN型不等式 / p-ラプラシアン / 重み付きハーディ不等式 / 重み付きソボレフ不等式 / 強最大値原理 / 逆最大値原理 / 非線型変分問題 |
研究実績の概要 |
一般化されたp-ラプラス作用素(Aと呼ぶ)に対するHardy型不等式、加藤の不等式とCKN型不等式を中心に古典的不等式(重み付きハーディ不等式、重み付きソボレフ不等式等)の精密化の基礎的研究が精力的に行われた。特に、作用素Aに対する測度値の加藤の不等式を証明した。それらを基礎とし、(1) Aを主要部とする準線型楕円型作用素に対する強最大値原理と逆最大値原理の研究、(2) p-ラプラシアンに対する領域の境界まで込めた加藤の不等式の研究、 (3) p=1と臨界の場合のCKN型不等式の研究、および (4) 1次元Hardy型不等式の研究が行われた。具体的には次の成果があった。(1) に関しては、適切に許容空間を設定することによりAを主要部とする準線型楕円型作用素に対する強最大値原理と逆最大値原理の研究が成立し、Aを主要部準線型楕円型作用素に対する境界値問題の解の一意存在性、解の特異性が詳しく調べられた。また、我々が導入した許容空間 Renormalized 解とエントロピー解との関係が明らかにおなりつつある。(2) については、線形の場合の先行結果の多くが準線形の場合にも成立する事が証明された。またpラプラス・キャパシティを導入し、従来のpキャパシティとハウスドルフ測度の関係が明らかにされた。(3)に関しては、p=1の場合のCKN型不等式が等周不等式であることに着目し、その証明と対称性の崩れの研究が引き続き行われた。(4)に関しては、境界からの距離のべきを重みとする弱Hardy型の不等式を導入し従来の不等式を精密化した。これらの研究と同時に「精密化された古典的不等式」を共通の手法とし、非線型退化楕円型作用素の諸問題を対象とし共同研究を行った.具体的には、古典不等式における精密なミッシング・タームの存在と応用の研究、 臨界指数の不等式の精密化と関連する変分問題の研究等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
一般化されたpラプラシアンに対して 測度値の加藤の不等式が成立するための適切な十分条件の導出が懸案であったが、古典的なRenormalized解やエントロピー解を含む許容クラスを定めることに成功したため、加藤の不等式が精密化できた。さらに、その応用として強最大値原理と逆最大値原理が確立できた点が挙げられる。新たに、境界まで込めた加藤の不等式が導入され、この方面の今後の発展が期待できる様になった。さらに、当初の計画には無かった無限次の退化や爆発をする重みに関するHardy 型不等式の研究が遂行され一定の成果を上げつつある。この結果をブレイクスルーとして、無限次退化楕円型作用素に関する研究が飛躍的に進展する可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの結果を踏まえ、新たに境界まで込めた加藤の不等式の精密化の研究を行う予定である。その研究と平行して、p-ラプラシアンを含むような準線形用素の境界値問題と変分問題の解析について以下の研究を予定している: 線形の場合には、解が(前年度得られた)許容条件を満たさない場合には、それらはいわゆる病的な解であり、適当なエネルギー・クラスにおける変分問題の解としては捉えられないことが既に示された。このエネルギー・クラスに属さない解に関する研究は現在まで殆ど行われていないのが現状であるが、許容クラスの有効性を知るためにも重要な研究と位置づけている。今後は非線型の場合も含めて多くの反例を構成し、この病的なクラスの解の解析を試みたい。 古典的不等式の精密化の問題について:引き続き様々な不等式の精密化を目指して研究する予定である。さらに無限次の退化や爆発をする重みに関するHardy 型不等式の研究が遂行され一定の成果を上げつつあるので、それらをブレイクスルーとして、無限次退化楕円型作用素に関する境界値問題の研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた幾つかの出張と講演依頼が都合で次年度に延期されたために若干の次年度使用額が生じたが、次年度の請求分と合わせて予定どおり旅費及び謝金に関する経費として使用する計画です。
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