偏微分方程式を研究対象としたときに解の存在定理がその重要性を持つことは明らかであろう。この研究期間中に行った研究主題は非線形分散型・双曲型偏微分方程式の初期値問題の適切性となる。つまり非線形項を含む形の偏微分方程式を考え、初期値から解を求めるという初期値問題を取り扱った。そして適切性とは解の存在を含み、そこへ加えて解の一意性と初期値への連続依存性を要求した性質となる。これら三つの条件を満たすとき初期値問題は適切であるといい、一つでも欠如した場合は初期値問題は非適切であるという。問題が適切であるか非適切であるかは解を扱う関数空間の正則度に依存する。正則度による場合分けが完成すれば問題は終了する。
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