研究課題/領域番号 |
16K05193
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川平 友規 東京工業大学, 理学院, 准教授 (50377975)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Beltrami方程式 / 擬等角写像 / 複素力学系 / Julia集合 |
研究実績の概要 |
今年度は島内宏和氏の協力を得て,既存のBeltrami方程式の理論,とくにその種々の解法について網羅的に学ぶ機会を設けた.例えばサークルパッキングを用いた解法,Gauss以来の実解析的方法を用いた方法,Fourier変換を援用したL2空間内での解法(もっとも一般的な解法は2より大きな p を選び Lp空間を用いる)などなど.これらの根底にある統一的な原理を見極めよう,というのが趣旨であったが,中でもサークルパッキングを用いた解法はもっとも幾何学的で直観に訴えるものがあったので,この解法をより一般化するための研究を開始した.具体的には,Colin de Verdiere の変分原理を用いたサークルパッキングの存在定理の証明の一般化して,トーラス上の与えられたBeltrami係数の歪曲度を忠実に反映した三角形による分割の存在を示した.この三角形分割を細かくしていくことで,Beltrami方程式の解に収束することが示せないかと考えている.そのため,Rodin-Sullivan,He-Schramm のサークルパッキングに付随する同相写像がパッキングの最大半径を 0 に近づけることでRiemann写像に収束するという内容の論文を精読し,今後の研究へのヒントを求めた. その他,木坂正史氏との共同で,2次多項式力学系族の分岐集合にあたるMandelbrot集合の境界に,Julia集合の擬等角写像(Beltrami方程式の解となりうる写像)による像が埋め込まれており,その歪曲度としていくらでも1に近いものが存在することを示した. また,Yi-Chiuan Chen氏と共同で,カントール型の2次多項式力学系が退化してMisiurewicz型の2次多項式力学系が生成される現象について,正則運動の退化という形で定式化し,その速度評価を与えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定期的にセミナーをしてBertrami方程式の理論について深く学んだことで,複素力学系への応用の可能性が格段に上がった.とくに島内氏との共同研究により,自分たちで新しい解法を考察できるレベルになったことは非常に大きな進展であった.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は退化Bertrami方程式の理論について深く学び,Goldberg-Minor予想への適応を視野に入れたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
台湾から共同研究者を招聘する予定であったが,先方の都合でキャンセルされたため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度6月に台湾から共同研究者を招聘する予定である.
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