研究課題/領域番号 |
16K05201
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冨田 直人 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (10437337)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 多重線形作用素 / 擬微分作用素 / フーリエマルチプライヤー |
研究実績の概要 |
多重線形調和解析の分野では,この20年ほどの多くの研究者の努力により,基本的な理論は構築された.しかし,双線形ヒルベルト変換をはじめとする特異性の強い多重線形作用素に対する有界性はいまだ未解決な部分が残っている.特異性の強い多重線形作用素の難しさは,Littlewood-Paley理論だけでは議論できない点であり,本研究ではどのようなアプローチを補えばよいのかを考察し,解決への糸口を見つけることを目標としている. 平成28年度は,1,1型と呼ばれる双線形擬微分作用素の有界性を研究した.1,1型とは,空間変数に対して1回微分した時に,擬微分作用素のオーダーが1つ上がるシンボルを持つ作用素である.線形の場合でも,このタイプの擬微分作用素は一般にはL2有界性が成り立たないことが知られており,特殊なものである.先行研究では,双線形擬微分作用素の有界性がBesov空間,Triebel-Lizorkin空間において議論されていたが,これらの関数空間のパラメーターをSobolev空間となるように選んだ場合には,既存の結果よりも悪くなってしまうという問題点があった.これに対し,Sobolev空間の場合から期待される自然な条件の下,Besov空間,Triebel-Lizorkin空間での1,1型の双線形擬微分作用素の有界性を得ることに成功した. また,宮地晶彦教授(東京女子大学)と双線形擬微分作用素の共同研究を行い,この数年行き詰っていた有界性の問題に対して,解決の糸口を見つけることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1,1型という特殊なシンボルを持つ双線形擬微分作用素のBesov空間,Triebel-Lizorkin空間での有界性を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
双線形擬微分作用素の残された有界性の問題に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
夏に予定していた研究集会への参加を取りやめたため.
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次年度使用額の使用計画 |
共同研究者との研究打ち合わせ,また得られた成果を研究集会などで報告を行うための費用として使わせていただく.
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