研究課題/領域番号 |
16K05204
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
福山 克司 神戸大学, 理学研究科, 教授 (60218956)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 一様分布論 / 間隙級数論 / 差異量 |
研究実績の概要 |
数列が与えられたときにその小数部分の経験分布を考え一様分布との距離を与える量がディスクレパンシーすなわち差異量である。その差異量がどの程度の速さで0に収束していくかを調べる研究は盛んになされており、特に等差数列についての研究と、数列の発散の速さが早くHadamardの間隙条件を満たす場合について測度論的研究が良くなされている。 発散が早い場合については差異量の収束の速さがどの程度まで許容されるかの研究がAistleitner-Larcher によりなされているが、その主張には与えた速さとの間のブレの量が大きく完全なものとは言えなかった。今回Berkes、Nishimuraとの共同研究により、そのブレの部分を取り除き、与えられた速さに完全に漸近する形の重複大数の法則の拡張版にあたる極限定理が証明され、その収束測度に現れる速さのバリエーションについての研究はほぼ完全なものになったといえる。またAdditive Energy が大きい数列の解析の例になっている点も重要であり、Aistleitner の別な研究にも影響を与えている。 また三角和の発散の速さについては通常の重複大数の法則よりも重複した対数函数の冪を高くしたものについても漸近する三角和が存在することも併せて示され、間隙級数論の発散測度の研究について一つの重要な例を供給することに成功した。この結果はかつてRademacher 函数列を用いて比較的緩い形で示されていたものの精密版であり、間隙級数になっているところは元の結果からは全く自明でないものである。
これらの結果は学術論文に投稿し、すでに出版されていることを申し添える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究内容が予想しない結果を導き出した点で計画以上と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
多次元のRiesz-Raikov和についての中心極限定理の研究に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗状況が予想と食い違い、研究発表旅費の執行が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究発表のための旅費、資料整理の謝金その他に適切に利用してゆく。
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