研究課題/領域番号 |
16K05207
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 智成 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (00303173)
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研究分担者 |
加藤 幹雄 信州大学, 工学部, 非常勤講師 (50090551)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 距離完備性 / semimetric space / 不動点 |
研究実績の概要 |
項目10の雑誌論文リストで挙げた論文について、その概要を述べたい。 ノルムや距離関数を用いた理論は非常に美しいものであり、多数の応用を持つ。一方で、それらの条件は(比較をすると)強いため、応用の範囲が限られる。近年、新たな応用先を求めて、ノルムや距離関数を弱めた関数での理論展開が、多くの研究者により積極的になされている。距離関数に関しては、距離関数の4条件から三角不等式を取り除く試みがなされている。単純に取り除くだけでは、条件が弱すぎて理論展開ができないので、何かしらの三角不等式よりも弱い条件を仮定する必要がある。どのような条件を課したらどのような理論展開ができるのか、ということが研究のテーマになる。距離空間の4条件の中から三角不等式を除いたものを semimetric space と呼ぶ。近年、 semimetric space に関する研究が盛んに行われている。この空間は net による収束の定義をすることができる一方で、三角不等式が成立しない弱い設定のため、位相を定めることができない。このような研究であるため、一つ一つの概念について丁寧に議論展開をする必要がある。本論文では、semimetric space の1つである ν-generalized metric space という空間に関する議論を行っている。特に、完備性に関する議論を行っている。完備性は不動点の存在等に本質的に関わる重要な条件である。距離空間では完備性は1種類しかないし、それ以外は考えられない。一方で、ν-generalized metric space においては複数の完備性が存在するため、様相はより複雑である。考えられ得る完備性に対して、それらの条件を比較検討し、一定の成果を得ることができた。その中の主だったものをまとめたのが本論文である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5年間で査読付きの論文を30編発表できたので、「おおむね順調に進展している」として差し支えないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の中味に関しては、ここ最近、semimetric space の構造に関する研究や、新しいタイプの非線形写像に関する研究が積極的になされている。このトレンドに対する本質的な貢献をしたいと考えている。解かなければならない問題がたくさんあるので、積極的に研究に取り組んでいきたいと考えている。 研究の進め方に関しては、コロナの感染状況に大きく依存してしまうが、自粛が解除になった場合に対しても、逆に一年を通して自粛モードが続く場合に対しても、いかなる状況に対しても、柔軟に対応できるように努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスのパンデミックの影響が大きく響き、次年度使用額が生じてしまっている。一年を通してほぼ自粛モードであったため、研究交流することがあまりできなかった。 自粛が解除になり次第、積極的に研究交流をはかっていくのはもちろんであるが、一年を通してほぼ自粛モードが続いたとしても、柔軟に対応できるように努めたいと考えている。具体的には、研究成果をより多くの人に読んでもらうためにオープンアクセスの雑誌への論文の投稿すること、および関連図書の購入、数値実験用のパソコンの購入等、研究に必要な物品を購入することを予定している。
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