フラクタル空間上の非マルコフ確率過程の研究を行っている。 これまでに、おもにシェルピンスキー・ガスケットと呼ばれるフラクタル上で、自己回避ウォーク、自己反発ウォーク、ループ・イレーズド・ランダムウォークなどを扱ってきた。特にループ・イレーズド・ランダムウォークは、単純ランダムウォークからできた順にループを消して得られる非マルコフ過程であるが、このウォークをフラクタルに適した形で構成する方法を考案し、連続極限、無限に長いウォークの構成などを行ってきた。 2021年度は、大学院生との共同研究で、フラクタルの方をランダム化し、その上でループ・イレーズド・ランダムウォークを構成した。さらに、その連続極限が存在することを証明し、極限の確率過程が自己回避的であることを証明した。ここまでを論文にまとめてあるので投稿可能だが、もう一つ定理を追加したいと努力中である。2022年3月の数学会で大学院生が今得ている結果を発表した。
|