1.最終年度には、位数 2 の polynomial skew products tangent to the identity が吸引的及び反発的な characteristic direction を一つずつ持つとき、原点に収束する軌道は反発的な parabolic curve 上か吸引的な parabolic domain 内にあること、従ってspiral domain は存在しないことを証明した。また、反発的な parabolic curve が吸引的なparabolic domain の境界に含まれることを証明した。更に、元の写像とそれを原点でブローアップした写像のジュリア集合がブローアップで写りあうための条件を与えた。 2.二つのサドル不動点が関係を持つような polynomial skew products の fiber Julia 集合の挙動が parabolic implosion を示唆することから、その力学系を解析することが本研究の目標であった。まず、2つのサドル不動点で線形化可能な場合に、Lavaurs 写像への収束、fiber Julia 集合が fiber Julia-Lavaurs 集合に収束することを証明した。 3.次に、線形化できない場合で、incoming サドル不動点がスーパーサドルの場合にLavaurs 写像が恒等的にゼロになること、fiber Julia 集合がサドルの安定集合の閉包に収束することを示した。 3.Outgoing サドル不動点がスーパーサドルの場合、その不動点での形式的共役が正則共役になるための必要条件と十分条件を与えた。標準形と正則共役になる場合は、正則共役を用いることにより、線形化可能な場合と同様の議論をすることができることを示した。 これらの結果により、当初の目的は達成された。
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