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令和2年度では、コロナ禍が予想外に甚大な影響を及ぼしたため、前年度に予定していた計画を一度白紙に戻し、大幅に計画を変更する事を余儀なくされた。とはいえ、国内を中心とする研究協力者との ZoomやE-mail等を介した連携を支えにする事で、年度終了までに以下の成果を得る事ができた。
[数学モデルの提案と数学解析] 自由境界の高度な形態変動を表す数学モデルとして、二重非線形性を伴う仮似変分不等式による数学モデルを提案し、その可解性を数学的に保証した。また、熱交換と結晶粒界運動の相互作用を考慮した数学モデルを提案し、時間無限大での解挙動に対する考察を与えた。更にこれらの2つの研究内容のそれぞれを査読付き論文 (計2編) として発表した。
[最適制御問題] 当該年度では最適制御問題の数学解析が予想外の進展を見せ、「(i)形状記憶合金」「(ii)結晶粒界運動」「(iii)仮似変分不等式」の3領域と関連する最適制御問題を手掛ける事ができた。その結果、(i)(ii)では最適制御の存在と最適性条件を明らかにし、(iii) では仮似変分不等式の問題を非線形発展方程式によって近似する独自の方法を提案した。また(i)(ii)(iii)それぞれに関する成果を査読付き論文(計3編)として発表し、更に(ii)についてはオンラインの国際研究集会2件において成果発表を行った。
[自由境界の形態変動の考察] 結晶粒界運動や画像処理問題に現れる全変動流に動的境界条件を課した問題を考え、動的境界条件による力学的作用が自由境界の形成にどの様な形で影響が現れるかを調べた。またその成果を査読付き論文1編として発表した。
[数値計算] 固体・液体相転移現象における最適制御問題に対する数値計算アルゴリズムの収束の保証と、計算機に実装したテストシミュレーションを行い、査読付き論文1編として研究成果を発表した。
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