研究課題/領域番号 |
16K05234
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
吉川 周二 大分大学, 理工学部, 教授 (80435461)
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研究分担者 |
黄木 景二 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70281194)
渡邉 紘 大分大学, 理工学部, 准教授 (30609912)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 非線形偏微分方程式 / エネルギー法 / 構造保存型差分解法 / 固体材料 |
研究実績の概要 |
平成31年度/令和元年度は以下の研究を行った。 1.空間多次元における構造保存型差分解法のエネルギー法を考察した。具体的な成果は、Furihata-Matsuo (2010)の設定と同様に自由度の高い格子点の下で差分化した二次元Cahn-Hilliard方程式の構造保存型差分解法に対してエネルギー法を適用し差分方程式の解の存在や誤差評価を得たことである。空間二次元では一次元の時のようにH^1ノルムで最大値ノルムを評価できないため、H^2エネルギーの構造を継承する数値解法を考えることで上記の結果を示した。 2.微分方程式の解の減衰評価などの精密な評価を得る手法の一つに重み付きエネルギー法がある。これは重み関数付きマルチプライヤーを利用する手法であるが、この重み付きエネルギー法が離散の枠組みでも実現できるかについて検証した。まだ満足のいく形とはいえないが一定の成果は得られており今後の発展が期待される。本研究は若杉勇太氏(愛媛大/広島大)と側島基宏氏(東京理科大)との共同研究である。 3. 合金の相分離を表現するCahn-Hilliard-粘弾性系とCahn-Hilliard-弾性系について考察した。まずCahn-Hilliard-粘弾性系に対しては、離散変分導関数法の枠組みで自然に求まる構造保存型差分解法の誤差評価を示した。しかしここで得られた誤差評価は粘性項に依存する評価のため粘性を持たないCahn-Hilliard-弾性系には適用できない。そこで新たな数値解法を考案することで、Cahn-Hilliard-弾性系に対する誤差評価を示した。本研究は紫村一輝氏(大分大)との共同研究である。 4. 上記の成果で共通するキーワードである構造保存型差分解法のエネルギー法についての論説を日本応用数理学会の学会誌「応用数理」に寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた研究や研究分担者・連携研究者との議論を通じて、いくつか新たな知見や方針が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
新たな方向の研究や知見がいくつか得られたことは上述の通りだが、その一方で研究計画段階では一つの柱としていた塑性に関しては十分な成果が得られていないことを前年度の実施状況報告でも述べた。そこで新たに抽象発展方程式や関数解析の手法に詳しい渡邉紘氏(大分大)を研究分担者に加え研究の推進に努めた。新型コロナウイルスなどの理由により計画に遅延・変更が生じたため、更に研究課題の期間延長をし研究分担者の協力の下で研究の推進を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により学会の中止や研究計画に遅延が生じたため次年度使用額が生じた。使用計画として、主に塑性の研究に関連する物品および資料収集等に使用する。
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