研究実績の概要 |
研究課題「非線形微分方程式の定性解析の新機軸:非線形振動理論の新たな局面を迎えて」を遂行するために, 非線形 Sturm-Liouville 微分作用素(非中立型)あるいは中立型微分作用素(遅れあるいは進みの関数変数を含んだ)主要部とする種々の微分方程式やそれらの方程式系に対して, (a) 非線形微分方程式の振動性の特徴付け, (b) 非振動型の微分方程式に非摂動項を付加したときの解への影響, (c) 様々な微分方程式の非振動性(非振動解の存在と無限遠における漸近挙動)を解析するための正則変動関数論の活用(正則変動関数とは, 1930年にセルビアのJ. Karamata によって創始されたある基準に従って分類されたクラスの関数族の総称である), (d) 非振動解の存在など貴重な情報を提供する非線形 Riccati 方程式と非線形微分方程式の非振動性との関連, という主に4つの課題に焦点当てた研究を実施した. [研究実施の具体的な内容と成果] [1] 情報収集と情報交換の実施:最近の話題になっている宇宙物理学や原子物理学に現れる非線形数理モデル(非線形微分方程式)に対して, 知られている既存の結果を体系的に纏め, 証明に利用されている数学的な手法や数値解析をはじめとする物理的な手法を網羅した. 情報収集に関しては, インターネットが主であったが, 最も価値があり先見的な研究成果の予想ができたのが, 同分野の国内外の研究者からの情報であった.[2] 論文策定:研究経過を定期的にこの分野の一級の専門家である草野尚教授とスロバキアのJaroslav Jaros, さらにセルビアの Jelena V. Manojlovic に報告して批判と助言を求めた.[3] 研究成果発表:Riccati 方程式と考究の対象としている微分方程式との関連に関する興味深い論文を執筆した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[理由] [1] J. Jaros, T. Kusano and T. Tanigawa, Nonoscillatory solutions of planar half-linear differential systems: a Riccati equation approach. Electron. J. Qual. Theory Differ. Equ. 2018, Paper No. 92, 28 pp.
上記の通り先端的で興味深い研究成果を収めている. 今後も更なる努力を重ね研究成果を挙げ各種の研究集会で研究成果を発表したいと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度(令和元年度)に開催される国際研究集会, 国内で開催される研究集会, さらに日本数学会において研究成果を発表し, 同分野の他の研究者から様々な助言と批判を賜り今後の研究の進展に拍車をかけ, 困難が予想される研究成果をいち早く導きたいと願っている.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の4月から本研究課題の中枢と言える課題を遂行するために, 多くの研究時間を要することを予想していたが, 予期した通りになり, 苦心惨憺の末, 興味深い価値ある論文を執筆することができた. 次年度は、本年度で得た研究成果を国内外の研究集会及び海外の同方面の研究者に公表し助言と批判を仰ぎたいと考えている. そのため本年度の予算を国際研究集会の参加費及び海外の研究者との面談に対する費用として次年度に繰り越しすることにした.
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