研究課題/領域番号 |
16K05239
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
望月 清 首都大学東京, 理工学研究科, 客員教授 (80026773)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レゾルベント一様評価 / 平滑化効果 / 散乱理論 / 磁場中の分散型方程式 / 量子グラフ上の逆散乱 |
研究実績の概要 |
本研究は Schr\"dinger 方程式、Klein-Gordon 方程式などの分散型方程式系に対する磁場中の散乱解析を中心に据えている。2年目である本年は外部領域でのこれらの方程式系の平滑化効果を導き、それを時間にも依存する摂動に対する散乱問題に適用した。Strichartz 評価への拡張もある程度得られており、これは非線形分散型方程式系の解の研究を発展させる有効な道具として使えるであろう。 また、量子グラフ上の逆散乱問題に関してはLasso type や Sun type のグラフについて、散乱振幅からのポテンシャル同定問題に取り組み、一定の結果を得た。 これらは先進的な領域でもあり、まだ解決に至らない箇所も多い。本研究の最終年度である本年の研究に進展が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の中心課題に関して研究が進んでいる。Schr\"odinger 作用素のレゾルベントの一様評価から分散型発展方程式の平滑化効果が導かれ、それがあるクラスの散乱問題に適用された。量子グラフ上の散乱問題は系のスペクトル表現と散乱データからどのように Marchenko の基礎方程式を導くかが問われる問題で、loop を含むグラフの場合は問題が複雑になり、特殊な場合を除いて、ポテンシャル再構成にはまだ至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究方針を今後もそのまま進める。中央大学で行なっている偏微分方程式セミナーで内外の研究者達との研究討論が大切である。また、論文執筆時の共同研究者達とは今まで通りに研究交流が欠かせない。昨年はイギリスの CRC Press から2階楕円型作用素の散乱理論に関する専門書を出版したが、まだ、解決されていない問題も多く、隙間や欠陥をどう埋めて行くかも問われていると思う。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費に充てる予定の金額が少し足りなくなり、未使用分を最終年度の分と合わせて使用したい。
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