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2016 年度 実施状況報告書

ヘルムホルツ方程式の解の評価と対応する非定常問題の解の平滑化評価に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K05243
研究機関日本医科大学

研究代表者

中澤 秀夫  日本医科大学, 医学部, 教授 (80383371)

研究分担者 門脇 光輝  滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70300548)
望月 清  首都大学東京, 理工学研究科, 客員教授 (80026773)
渡邊 一雄  学習院大学, 理学部, 助教 (90260851)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード散乱の定常問題 / ヘルムホルツ方程式 / リゾルベント評価 / 一様リゾルベント評価 / 平滑化評価 / Strichartz評価 / 非自己共役作用素 / スペクトル解析
研究実績の概要

摩擦項の係数関数が空間変数のみに依存する滑らかな関数とする場合の摩擦項を伴う波動方程式の定常問題に対する解の評価、特に通常のリゾルベント評価式及びスペクトルパラメータに依存しない一様リゾルベント評価式の導出に関するこれまでの結果を見直し、摩擦項の係数関数の小ささの仮定を除去する研究を行った。その過程において、これまでに導かれていない不等式を導出し、これを用いることで小ささの仮定が取り除けることまでは判明したが、その際、空間次元は3以上で、尚且つ、領域の最小半径(原点から領域の境界までの距離の最小値)がある値以上でなければならない、というやや不満足な結果しか得られていない。
今後はこの評価を見直し、この条件が真に必要なものなのか、特に空間2次元の場合にこのような結果が得られないかに関して研究を進めていく。
またこれと関連して、定常問題のリゾルベント評価の改良が進めば、対応する時間発展方程式の解の評価(平滑化評価やStrichartz評価)等に関する既存の結果も改良されることが期待され、こういった問題も見据えて研究を続けていく。
更に、関連する問題として、シュレーディンガー方程式の定常問題に関し、ポテンシャルが実数値関数ではなく複素数値関数とした場合のリゾルベント評価、スペクトル構造の研究についても取り組む予定である。
更に進んで、上記摩擦項を伴う波動方程式や複素ポテンシャルを伴うシュレーディンガー方程式等を具体例として含む非自己共役作用素のスペクトル解析にも取り組みたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

参考となる関連研究結果が全く無く、一人で全ての道具を開発する必要があることが大きな理由である。ここで、道具というのは具体的には解の評価に必要な適切な不等式のことを指す。これまでの研究で一つ新たな不等式を導出することに成功し、これを用いることで摩擦項の係数関数の小ささを除去するための可能性は得られているが、その際必要となる条件はやはり不自然といわねばならず、これを是非とも除去したい。そのための新たな道具を開発する必要があると考えている。

今後の研究の推進方策

既存の研究で導かれている評価式というのは、重み付きエネルギーの導出の際に適当な関数を方程式の両辺に乗じて実部をとる事によって得られるのだが、虚部をとることで何か有用な不等式が得られないかを考察する。過去にこの試みで結果が得られてるものとして唯一、斉藤義美氏による結果がある(複素ポテンシャルを伴うシュレーディンガー方程式の極限吸収原理に関する結果)。我々の問題ではポテンシャルがスペクトルパラメータに依存するため、この特殊性を考慮した工夫が必要となることが予想される。他にもある種の2次形式の正値性から導かれる不等式を導出することを試み、摩擦項の係数関数の小ささの除去、スペクトル構造の解明といった問題に取り組みたい。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者、研究分担者ともに旅費や機器備品の購入費として使用したが、出席予定の研究集会への参加を取りやめたりといった理由などにより、交付された金額を丁度使い切ることが出来なかったため、次年度使用額が生じることとなった。

次年度使用額の使用計画

国内外の研究集会に出席し、最新の関連研究結果についての情報収集を行い、関連研究者たちとの質疑応答等を通じて自らの研究に役立てる。

備考

プログラム

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Uniform Resolvent Estimates for Stationary DissipativeWave Equations in an Exterior Domain and Their Application to the Principle of Limiting Amplitude2017

    • 著者名/発表者名
      Kiyoshi Mochizuki and Hideo Nakazawa
    • 雑誌名

      New Trends in Analysis and Interdisciplinary Applications: Selected Contributions of the 10th ISAAC Congress, Macau 2015 (Trends in Mathematics), Birkhaeuser

      巻: 1 ページ: 521, 527

    • DOI

      10.1007/978-3-319-48812-7_66

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 磁場中のシュレディンガー方程式に対する 一様リゾルベント評価とその応用I&II2016

    • 著者名/発表者名
      中澤秀夫
    • 学会等名
      平成28 年度RIMS共同研究 「微分方程式に対する散乱理論の展開」
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所111号室
    • 年月日
      2016-09-03 – 2016-09-05
    • 招待講演
  • [備考] 平成 28 年度 RIMS 共同研究 「微分方程式に対する散乱理論の展開」

    • URL

      http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kaizuka20160729j.pdf

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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