研究課題/領域番号 |
16K05243
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
中澤 秀夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (80383371)
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研究分担者 |
門脇 光輝 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70300548)
望月 清 東京都立大学, 理学研究科, 客員教授 (80026773)
渡辺 一雄 学習院大学, 理学部, 講師 (90260851)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 数学的散乱理論 / スペクトル理論 / 一様リゾルベント評価 / 極限吸収の原理 / 極限振幅の原理 / シュレーディンガー方程式 / 波動方程式 / 非自己共役 |
研究実績の概要 |
covid19の流行により,予定していた国内の研究集会の開催が困難となり,また研究集会参加の為の旅費の支出が不要となったため,残った予算を今年度の研究経費として活用するために本研究の延長を願い出,許可された。 これまでの研究に引き続いて,昨年度も,本研究課題「ヘルムホルツ方程式の解の評価と対応する非定常問題の解の平滑化評価に関する研究」遂行のための研究を行い,特に,磁場の効果も考慮した波動方程式に対する極限振幅の原理に関しては既存の結果の改良が期待でき、専門誌への投稿を目指して準備中である。 より具体的に説明すると、通常のLaplacianの部分を磁場の効果を考慮した Magnetic Laplacian に置き換えた波動方程式(ポテンシャル項と摩擦項も含む)に対する極限振幅の原理を、空間2次元の場合は原点を除く外部領域、空間N次元(Nは3以上)の場合は全空間および外部領域として証明することに成功しつつある。特に、2017年の結果で必要であった摩擦項の小ささに関する仮定を取り除くことが見込める。鍵は、摩擦項を摂動として取り扱い、通常のリゾルベントに対する低エネルギー評価の代わりに摩擦項のない時間依存問題の定常問題に対する一様リゾルベント評価を利用する点である。ただ、摩擦項の係数関数の空間遠方での減衰条件が最良か否かに関しては現時点では不明であり、今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年に出版された論文では、1966年のMizohata-Mochizukiによる摩擦項を伴う波動方程式に対する極限振幅の原理の、外部領域および1以外の任意の区間次元への拡張に関する結果を示した。本研究課題の研究として、研究分担者の望月清名誉教授との共同研究によって、この結果を更に、磁場の効果も含めた摩擦項を伴う波動方程式に対して拡張し得ることが判明し、現在専門誌への投稿に向けて準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
現段階では、摩擦項を伴う波動方程式(但し磁場の効果も考慮した Magnetic Laplacian)に対する極限振幅の原理を、1966年のMizohata-Mochizukiによる結果、及び2017年のMochizuki-Nakazawaによる結果の改良版として証明できることが判明しているが、そこでの摩擦項の空間遠方に関する減衰条件が最良の条件なのかが現時点では不明であり、今後は、この点を含めて可能な限り、出来得る改良を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度にはほとんど使用しなかったため。
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