電気回路理論に由来するresistance distanceは、グラフのラプラシアンを用いて定義され、さらに、グラフのKirchhoff indexは、resistance distanceとグラフのcomplexityを用いて定義される。Kirchhoff indexにはいくつかの種類があるが、それらのある一次結合と、グラフの伊原ゼータ関数の主要部の2階微分の間に関係があることが近年発見された。我々は、グラフのKirchhoff indexを重み付きグラフの場合に一般化して定義し、重み付きグラフのゼータ関数との関係を求めた。そして、伊原ゼータ関数は第2種重み付きゼータ関数に一般化され、ラプラシアン、complexity等も重み付きの場合に一般化されて成り立つことを示した。この結果により、グラフの重み付きゼータ関数が、より広範な分野と関連していることが示された。また、有限グラフ上の四元数Groverウォークの左固有値問題について考察した。四元数行列の左固有値は、Study行列式で与えられる方程式の解として得られることから、すでに我々が本研究で得ていたグラフの第2種四元数重み付きゼータ関数の行列式等式を応用して、固有値の決定を四元数二次方程式の解を求める問題に帰着し、四元数二次方程式の解の公式を用いて四元数Groverウォークの左固有値集合を求めた。一般に四元数行列の右固有値と左固有値の間にははっきりした関係はないが、本結果により四元数Groverウォークの右スペクトルと左スペクトルの関係がわかった。
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