本研究では,グラフに付随して定まる有向辺に,非可換な量,すなわち行列や四元数のように積の順序を逆にすると結果が異なるような量,で重みづけした重み付きグラフに対するゼータ関数を定め,非可換な量を成分にもつ行列に対する行列式(非可換行列式)などによる表現の導出など,その主要な性質の解明と関連領域への応用を行った。グラフの第1種重み付きゼータ関数と第2種重み付きゼータ関数の二つについて,これまでの理論を重みが四元数の場合へ一般化し,その成果をグラフ上の四元数量子ウォークのスペクトルの解析に応用した。また,第1種重み付きゼータ関数は,四元数を特殊な場合として含む,より一般の場合への拡張を行った。
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